必要に応じて澪が一歩前に出て様子を見たり、柊が澪の勘や口出しに文句をつけたりすることもあるが、それでペースが落ちることはない。二人だからこその速さだ。
『このまま連携がとれていたら、時間内にできる』
だから、二人とも思っていたのだ。何事もなく順調に進んで、仕事を終わらせることができると。
まず異変に気付いたのは澪だった。
――変な音がする。
処理を進めること十数分。
「そこ、やっといて」
「『そこ』ってどこだよ」
「分かるでしょ」
「……分かるけど曖昧なんだよ」
突然、澪が柊から離れた。
柊はなにも言わずにそちらを一瞥したあと、作業を続行する。澪は室内を歩き出した。
音がするのだ。カチカチ、カチカチと。
柊の背後から中を覗き込む。
タイマーは残り20分程度だということを表しているが、このタイマーの音ではない。
――じゃあ、なに。


