その代わり、壁には子供が描いたものと思わしき落書きがあったが。
そして窓の右下、部屋の隅からわずかに離れた位置に爆弾は設置されていた。
外国から密輸したものに、犯人による違法改造が加えられた時限式。
そこそこ大きく、黒と紺の間のような色をしたそれは白の壁も相まって存在感を放っていた。
中に入り、部屋の端から端までじっくりと見た澪が工具のケースを床に置きながら検分結果を述べた。
「ここにもトラップはないよ。多分、位置的にも安定してるから固定の必要はないと思う」
「分かった。もう始めてもいいか?」
「ああ。こっちも準備する」
澪が工具の点検を始めたのを見て、柊も準備を始めた。
愛用している腕時計を外す。
時計に含まれる金属が発する磁力が信管を刺激し、起爆してしまう恐れがあるからだ。
彼の腕時計は非磁性体でつくられた特殊なものでありその危険性はないのだが、単純に作業の邪魔になるから取る。


