ーーこれは、私のものがたり。

人生最後のタバコに火をつけた。
「みみちゃん、本当にいいの?」
「うん、いつでも辞めれるくらいのものだから」

メイド喫茶でアルバイトをしたことがきっかけで始めた何となくのタバコ。
最初は吸い始めるつもりもなかったが、休憩という名の一服にズルいという気持ちが湧いた。ただそれだけ。
お客様の前ではしっかりとメイドを演じている先輩が裏で煙を吐きながらよく悪口を言っていた。

そこから習慣のように何となく咥えることが多かった私だが、先月付き合い始めた彼がタバコを嫌がるので辞めようと決意。最後の一服中というわけである。

「俺、辞めてほしいとは思うけど無理にとは言わないよ。みみちゃんに長生きしてほしいだけ」

そう言って彼は、私が吐き出した煙を吸って咽せた。
これが最後の1本だから許してね、と私が言うと咳をしながらこくこくと頷く。
本当は煙や匂いが苦手なのに、私の身体を心配しているという、彼はそんな優しい人だった。

どうして、こうなってしまったのかな。
今でもこの香りを感じると、あなたとの日々が思い出されて泣けてくるんだよ。
あなたのわがままなんて、今思えば大したことなかったのにね。