あなたの小説を売ってください


そういえば、こっちの声もドアの向こうの乙葉には聞こえていないみたいだった。

もしかして…防音部屋…?

なんでそんな所に閉じ込められているの?

とにかく、一刻も早く乙葉を助けなきゃ…。


「待ってて乙葉、すぐにそこから出して___」


「それは困りますね」


「っ!?」


突如として聞こえてきた声に振り向く。

そこにはツムグさんがいて、腕を組みながら私を見つめて笑っていた。


「やはり追ってきていましたか…ドアを施錠しなくて正解でしたね。窓ガラスを壊しでもされたら後始末が面倒でしたから」


相変わらずの穏やかな口調に寒気がする。

私は震える唇を必死に動かした。


「乙葉の事、やっぱりあなたが犯人なんですね…」


「そう言われるのは心外ですね。これにはキチンとした事情があるんですよ」


「人の友達を誘拐してるのに、どんな事情があるっていうんですか…!」


怒気をはらんだ私の言葉に、ツムグさんは動じる事なく大きく頷いた。


「そうですね…その理由、あなたも薄々気づかれているのではないですか?まき。さん」


ツムグさんが一歩こちらへ近づいた。

私は警戒しながら、一歩だけ後退する。

ツムグさんが乙葉のいる部屋を見つめて呟いた。


「…ペナルティですよ。これは彼女への…ね」