あなたの小説を売ってください


それでも体重を乗せた足に踏まれた床は僅かに軋み、さほど大きくはないが確かに音を立てる。

玄関周辺にツムグさんの気配はない。

…今のうちに乙葉の手がかりを探すんだ。

私は一歩ずつ前へ進む。

二階に上る階段を通り過ぎ、一階の長い廊下を歩く。

部屋は不気味な程にたくさんあるけれど…どこも鍵が掛かっていてもし見つかっても隠れられそうな所はない。

急いで通り抜けようとした時、並んだ部屋の一つに視線が向かう。

その部屋にだけ窓がついていて、中を確認できるようになっているみたいだった。

何気なくガラスの向こうを確かめる。


「___っ!」


視界にとらえた相手の姿に、私は弾かれたようにドアに駆け寄った。


「乙葉!」


名前を呼ぶけれど、乙葉は気づいていない。

それならと、私はガチャガチャとドアノブを動かす。

ようやく気づいた乙葉が音のする方を振り返った。

そして私を目視するなり大慌てでドアに走って近づいてくる。

ガラス越しに、久しぶりに見えた乙葉の顔はやけにやつれていて、目の下にはクマが浮かんでいた。

ここで一体、何をされていたんだろう。


「~~!~~~!」


「なんて?なんて言ってるの乙葉、聞こえない!」