あなたの小説を売ってください


スマホに表示それた時刻は深夜2時ちょうど。

私は既に開いていたパソコンの検索サイトに今日何度目になるか分からない、あの文字を打ち込んだ。


“あなたの小説を売ってください”。


検索が始まり、結果が表示される。


「…ダメだ…」


ズラリと並んだ検索結果に落胆した。

小説買取人のサイトに行くためには、この検索結果が一件にならないといけない。

もう一度、試してみよう。

検索が始まり、結果が表示される。

…また、ダメだった。


「もう一度…」


マウスをクリックする音が静かな部屋に鳴り響く。

それから何度も検索してみるけれど、検索結果は変わらない。

こんなにも繋がらない物なの?

一回目で小説買取人のサイトに繋がったのは本当に運が良かっただけなんだと思い知る。


「どうしよう…」


消えた乙葉の行方を知っているだろう存在。

会うためには、まずサイトに繋がらないといけないのに…。

徐々に焦りだす心とは裏腹に、目の前の画面に映る検索結果は無情な物だった。

スマホの画面で時間を確かめる。

時刻は深夜2時50分に差しかかっていた。

2時から3時までという時間の制限があるなら、一日につき一時間しかサイトに繋がらないと考えるべきだろう。

つまり…今日を逃せば次のチャンスは明日。