あなたの小説を売ってください


夏休みが明け、久しぶりに制服に袖を通す。

部屋を出て朝食も食べずに玄関へ向かい、手にしたスマホを見た。

時刻は朝の7時前。

いつもより少し早く用意を終わらせたのには理由がある。


「やっぱり、おかしい…」


私が昨日送信した乙葉とのメッセージアプリ…そこには未だ既読がついていない。

スマホをカバンにしまって玄関を出る。

どこか胸騒ぎがして、いてもたってもいられなくなった私の足は乙葉の家に向かっていた。

少しずつ早くなる足の動きを止める事なく、記憶を頼りに目的地へ急ぐ。


「えっと…確かこの角を曲がって___」


高い塀の角を左に曲がった時、異様な光景が目の前に飛び込んできた。


「…あれ?」


足がピタリと制止する。

そこにあったのは何度も遊びに行った乙葉の家。

そして…その前に停車したパトカーの車。

家の前で乙葉のご両親と警察らしき人達が何かを話しているのが見えた。

乙葉のお母さんが瞳を左右に揺らしながら何かを話して、乙葉のお父さんがその肩を強く抱いている。

何かがあったのは明白で、私は息をのんだ。


「無事だといいけどねぇ…」


遠巻きに乙葉の家を眺めていた中年の女性が、頬に手をあてて呟いた。

私は女性に駆け寄り問いかける。


「あのっ…あの家に何があったんですか?」


「え?あなたは…」


女性は私の着ている制服を見て察してくれたのか、ハッとした後に声を潜めて教えてくれた。