あなたの小説を売ってください


良い方法…?

効率的に長編小説を書く方法って事?

どこか胸がざわつくのを感じて、落ち着かない。

それから夏休みの間、私が乙葉と連絡を取る事は完全になくなった。

単純に乙葉からメッセージも電話もなかったし…それに頑張って小説を書いているのに邪魔をするのも悪いと思ったから、あえてしていない。

蒸し暑い日々がただ過ぎていった。

そして、騒がしいセミの鳴き声にも慣れてきた夏休みの最終日。

お昼ご飯の冷やし中華を食べながら、私は思いきって、乙葉にメッセージを送ってみた。


“お疲れさまでした!今日、どうだった?”


予定通りなら乙葉は今日、小説買取人に会っているはずだ。

きっとすぐに返事が返ってくるだろう。

もしかしたら電話がかかってくるかもしれない。

そう思い、返事を待っていた。

だけど…昼食を食べ終わっても連絡がこない。


「あれ?おかしいな…」


送ったメッセージには既読すらついてなくて…こんな事は初めての事だった。

いつもの乙葉ならすぐに気づいて返信をくれるはずなのに…。


「お金、貰えてるよね…?遊んでるのかな…」


今回の乙葉がいくら貰えたかなんて想像もつかないけど…それなら仕方ないか。

きっとスゴく喜んでるだろうし、“小説買取人と会わないで”なんて話をして楽しい気分に水を差したくない。


「明日、学校で聞けばいい…よね?」


そう納得してスマホの画面を消した。

結局その日、乙葉から返事がくる事はなかった。