あなたの小説を売ってください


いくらお金が稼げるっていっても、漂う不気味さは拭えない。

サイトに繋がるまでの面倒な手順も、小説と交換でお金が貰えるってシステムも、ぽんと大金を渡せるツムグさんにも…私は納得できずにいた。

乙葉は怖くないのかな…?

午後の授業が終わり、放課後になる。

久しぶりに向かう駅前の本屋さんに向かう道すがら、私と乙葉はクレープのワゴンを見つけて立ち止まった。


「ここのクレープおいしいって評判だけど、高くて手が出せなかったんだよね~」


キャラメルナッツのクレープに乙葉がかぶりつく。

私もチョコバナナクレープを頬張り、そのおいしさに舌鼓(したつづみ)を打った。

外側がパリパリで中はモチモチの生地。

新鮮なバナナの甘味とチョコレートのほろ苦さが口いっぱいに広がる。

存在感のあるバニラアイスが優しい口溶けで味の調和が取れていた。


「こんなに豪華なクレープ、私初めてかも」


「麻希も?アタシも!本当おいしいよね~」


千円以上するクレープにアイスまでトッピングしてしまった。

これだけでも贅沢なのに___。


「あっ、あったよ麻希!のべりぃ文庫の新作!」


「えっ、本当?」


本屋さんに来た私達は、早速目についた新刊を買いあさった。

恋愛小説。

青春小説。

ホラー小説、短編集、小説の書き方指南本。

私はのべりぃ文庫の棚を見つめながらその背表紙を指先でなぞった。