学校に着くと、昇降口にロウくんが立っていた。
ロウくんは相変わらず半そでではあったけど全身真っ黒の服装で、荷物は小さなリュック1つだけ。
……なんかでっかいトランクケース持ってきたわたしがバカみたい。
「お前、そんなでかい荷物で行くのか?」
ロウくんが呆れたように言った。
「そっちこそ、そんな小さな荷物で行くわけ!?」
「足りなくなったら現地調達すればいいだろ」
「女子にはいろいろこだわりがあるんだってば!」
「そういうところはめんどくさがらないのか?」
「はっ……。たしかに……」
思わぬところで自分について再発見をしてしまった。
「じゃあ、行くぞ。荷物を持って、オレにつかまれ」
「つかまるって……どこに?」
するとまたロウくんは視線をそらした。
「どこでもいい。……腕にでもつかまれ」
「……わかった」
わたしはまた顔がボッと熱くなった。
おそるおそる腕につかまる。
小学校低学年くらいのときまでは男の子の手をにぎるくらい普通だったのに、中学生にもなると腕をつかむだけでどきどきしてしまう。
「いくぞ」
ロウくんがそう言うと、わたしたちの足元に魔法陣があらわれた。
そして自分が消えていくような、ふしぎな感覚におそわれる。
「う、うわああああっ!」
わたしは思わずさけんでしまった。
目の前が真っ暗になって、そして――。
――気づけば、わたしたちは真夏の砂浜にいた。


