魔法生物学の教室は、ふしぎな植物や魔法生物の骨格標本や得体の知れない魔法生物のホルマリン漬けでいっぱいだ。
わたしもさすがにそれらを見るとわくわくする。勉強する気にはならないけど。
ロウくんは教室には入らないで廊下で待っているらしい。
まあ、教室に危険はないからかな。
「先生、こんにちは! 青宮エリカです!」
わたしはワントーン高い声であいさつする。
魔法生物学の先生は、ご高齢の男性だ。もう何十年もここで教えているらしい。
「おや、青宮エリカくんじゃないか。校長先生から聞いたぞ。特別課題をやらないと留年なんだってな。やっと姉さんたちみたいに勉強する気になったか」
「ええ、そのとおりです!」
わたしは指を組んで言った。
「特別課題で、人魚のウロコを探してるんです。さっき図書室で『人魚について』という本を読んだのですが、人魚は綺麗な海に住んでいるということしかわからなかったんです。博識の先生であれば、なにかご存じだと思って! なにか教えていただけませんか?」
「ほお! あの分厚い本を読んだのか! あの青宮エリカくんが!」
くくく。
わたしは心の中で不敵に笑う。
「そんなに心を入れかえたのなら、情報をあげてもいいかもしれんなあ」
「先生、お願いします!」
わたしは指を組んだまま、ずいと先生に体を近づける。
「よし。じゃあ、最新の目撃情報を特別にやろう」
「ほんとうですか!?」
これは大きな手がかりだ!
特別課題、すぐにでも終わっちゃうかも!
「宮古島だ」
「宮古島? 沖縄県のですか?」
「そうだ」
沖縄か……結構遠いなあ。
でも、夏休みに沖縄なんてぴったり!
「しかしそこにいる人魚はなかなかくせ者でな……おっと、これ以上は話せんな」
「いえ、大変貴重な情報、ありがとうございます!」
こうしてわたしは重要な情報を手に入れた。
人魚は宮古島にいる。
「ほんとうにありがとうございました~!」
「特別課題、無事成功させるんだぞ」
「はい!」
元気に返事をして、わたしは魔法生物学の教室をあとにした。
廊下ではロウくんが腕を組んで待っていた。
「どうだった?」
どうせダメだったんだろ、と言わんばかりにため息まじりにロウくんが言う。
わたしは無言でピースサインを見せつける。
「情報を手に入れたのか!?」
「わたしの手にかかればこんなの簡単よ」
わたしは手をひらひらさせながらふふんと笑った。
「で、人魚はどこにいるって?」
「沖縄の宮古島。飛行機で行く必要があるね」
「は? なんでだ? 転移魔法で行けばいいだろ」
「転移魔法!? そんな上級魔法、使えるの!?」
転移魔法っていうのは、その名のとおり場所を移動する魔法。
でも物質の場所を移動させるっていうのはすごく難しいことらしくて、大人の魔法使いでもできない人は多い。
それを未成年で使えちゃうって、ロウくんって天才!?
「オレは元暗殺者だぞ。……未遂だけど。それくらい使えなくてどうする」
「じゃあ、ロウくんは魔法でむかって。わたし、お父様にお願いして飛行機の手配してもらうから」
「いや、そんなことしなくていい」
とつぜんロウくんは視線をそらした。
なにか言いたそうだけど、言いにくいみたいだ。
「……オレにつかまればいい。1人くらい、一緒に転移させられる」
「え……」
ロウくんに文字どおりくっついていくってこと!?
わたしはボッと顔が熱くなった。
「な、なんだ。課題を円滑にすすめるために手を貸すだけだ。勘違いするな」
「し、してないから!」
わたしは思わず大きな声で反論した。
「じゃあ、決行は明日だ。今日はもう夕方だからな。明日の朝、学校に来い」
「わかった……」
朝、起きれるかな……。
「オレは学校に収容されている。ここで別れるぞ」
「うん。今日はありがとう」
「……お互いの目的のためだ」
そうして、わたしたちは別れた。
明日から、人魚探しの旅が始まる。
わたしもさすがにそれらを見るとわくわくする。勉強する気にはならないけど。
ロウくんは教室には入らないで廊下で待っているらしい。
まあ、教室に危険はないからかな。
「先生、こんにちは! 青宮エリカです!」
わたしはワントーン高い声であいさつする。
魔法生物学の先生は、ご高齢の男性だ。もう何十年もここで教えているらしい。
「おや、青宮エリカくんじゃないか。校長先生から聞いたぞ。特別課題をやらないと留年なんだってな。やっと姉さんたちみたいに勉強する気になったか」
「ええ、そのとおりです!」
わたしは指を組んで言った。
「特別課題で、人魚のウロコを探してるんです。さっき図書室で『人魚について』という本を読んだのですが、人魚は綺麗な海に住んでいるということしかわからなかったんです。博識の先生であれば、なにかご存じだと思って! なにか教えていただけませんか?」
「ほお! あの分厚い本を読んだのか! あの青宮エリカくんが!」
くくく。
わたしは心の中で不敵に笑う。
「そんなに心を入れかえたのなら、情報をあげてもいいかもしれんなあ」
「先生、お願いします!」
わたしは指を組んだまま、ずいと先生に体を近づける。
「よし。じゃあ、最新の目撃情報を特別にやろう」
「ほんとうですか!?」
これは大きな手がかりだ!
特別課題、すぐにでも終わっちゃうかも!
「宮古島だ」
「宮古島? 沖縄県のですか?」
「そうだ」
沖縄か……結構遠いなあ。
でも、夏休みに沖縄なんてぴったり!
「しかしそこにいる人魚はなかなかくせ者でな……おっと、これ以上は話せんな」
「いえ、大変貴重な情報、ありがとうございます!」
こうしてわたしは重要な情報を手に入れた。
人魚は宮古島にいる。
「ほんとうにありがとうございました~!」
「特別課題、無事成功させるんだぞ」
「はい!」
元気に返事をして、わたしは魔法生物学の教室をあとにした。
廊下ではロウくんが腕を組んで待っていた。
「どうだった?」
どうせダメだったんだろ、と言わんばかりにため息まじりにロウくんが言う。
わたしは無言でピースサインを見せつける。
「情報を手に入れたのか!?」
「わたしの手にかかればこんなの簡単よ」
わたしは手をひらひらさせながらふふんと笑った。
「で、人魚はどこにいるって?」
「沖縄の宮古島。飛行機で行く必要があるね」
「は? なんでだ? 転移魔法で行けばいいだろ」
「転移魔法!? そんな上級魔法、使えるの!?」
転移魔法っていうのは、その名のとおり場所を移動する魔法。
でも物質の場所を移動させるっていうのはすごく難しいことらしくて、大人の魔法使いでもできない人は多い。
それを未成年で使えちゃうって、ロウくんって天才!?
「オレは元暗殺者だぞ。……未遂だけど。それくらい使えなくてどうする」
「じゃあ、ロウくんは魔法でむかって。わたし、お父様にお願いして飛行機の手配してもらうから」
「いや、そんなことしなくていい」
とつぜんロウくんは視線をそらした。
なにか言いたそうだけど、言いにくいみたいだ。
「……オレにつかまればいい。1人くらい、一緒に転移させられる」
「え……」
ロウくんに文字どおりくっついていくってこと!?
わたしはボッと顔が熱くなった。
「な、なんだ。課題を円滑にすすめるために手を貸すだけだ。勘違いするな」
「し、してないから!」
わたしは思わず大きな声で反論した。
「じゃあ、決行は明日だ。今日はもう夕方だからな。明日の朝、学校に来い」
「わかった……」
朝、起きれるかな……。
「オレは学校に収容されている。ここで別れるぞ」
「うん。今日はありがとう」
「……お互いの目的のためだ」
そうして、わたしたちは別れた。
明日から、人魚探しの旅が始まる。


