すき、きらい、キス。

な……なんでこんな時に忘れ物なんてするの! こーやんのばかーーー!!!


「10月限定、2年6組名物カップルの誕生だな!」


取り付く島もなく当事者二人は置いてけぼりのまま、いつの間にかそれは決定事項となっていたのだった。


席替え中の大盛り上がりした声は端の教室にまで届いていて、何事だと訪ねに来たのが、わたしが知る限り7人。

放課後を迎える頃には、犬猿の2人が付き合い始めた、という話は学年全体の知るところとなっていた。




「なぁ、ほんとに意味わかんねーんだけど」

「珍しく意見が合うね。わたしも全く同じ気持ち」


なぜか肩を並べて駅までの道を歩きながら、わたし達は静かなトーンで言葉を交わした。
 

「ノリと勢いの怖さを、これまでの人生で一番感じた」

「奇遇だな、俺もだ」


背中にいくつもの視線を感じるのは、何人ものクラスメイトが距離を開けてわたし達の様子を眺めているからだ。

付き合い始めたんだから一緒に帰りなよ、と背中を半ば蹴飛ばされたせいで、天敵である月城と一緒に帰る羽目になった。……わたし、自転車通学なんですけど。


「てか、こうなったの、あんたのせいでもあるからね」