すき、きらい、キス。

「は、転校!?」


まだまだ厳しい暑さの残る9月最終日のお昼休み。

驚愕に満ちた声が教室に響き渡った。


たまごやきを食べていた手を止め、声のした方を振り返ると、教室の後ろでお昼をとっていた男子グループの視線がある1人に集まっていた。


「転校って……月城(つきしろ)が?」

「え、11月にはもういねーの!?」


一気に話題の中心となった人物は、教室がざわつき始めたことに気付いて苦笑いを浮かべている。

その様子を驚きと共に眺めていると、その視線が不意にこちらを向いた。


ばちっと視線が絡んだかと思えば、わたしは反射的に舌をべっと出し、相手は笑いながら口パクで「バーカ」と言ってきた。


むかつくやつ。大嫌いなやつ。ことあるごとに突っかかってくる、わたし──千種(ちぐさ)ももの天敵。

月城燈茉(とうま)が、来月いっぱいでこの学校を去るらしい。




「いやぁ、寂しくなるねぇ」


駅までの道を並んで歩きながら、和佳奈(わかな)が何気なく言った。

何のことか思い至りながらも反応を返さないでいると、ずいっと顔を覗き込まれる。


「……なに」