その怖さを、私は知っている。 ……なのに、 叶兎の「とわ」が、 伊織の優しい声が、 迅の冷たい笑顔が、 斑の荒い言葉が、 航斗の鋭い視線が、 全部、頭から離れなかった。 息を吐く。 そして、誰もいない階段で、やっと表情を落とした。 笑顔をやめた顔は、きっとひどい顔をしている。 ……ひとりは嫌。 でも、失うのも嫌。 矛盾した気持ちを抱えたまま、教室へ戻った。