ひとりが嫌で、今日も笑う。


階段を登る足が、昨日より少しだけ軽い。

扉の前に立った時、心臓が痛いほど跳ねた。


……だめ。行っちゃだめ。

戻れなくなっちゃう。


頭の中では止めているのに、手は動く。

扉を押すと、風が吹き抜けた。


そして。

「……来たな」


屋上には、やっぱり航斗がいた。

フェンスにもたれて、腕を組んでいる。

私は思わず笑顔を作った。


「えへへ。昨日はごめんね〜」

航「来んなって言っただろ」

「うん、言ってたね」

航「じゃあなんで来た」


答えられない。

ひとりが嫌だから、なんて言えない。

言ったら、弱さがばれる。


私は誤魔化すように肩をすくめた。

「屋上、好きなんだよね」


航斗は目を細めた。

航「お前、昨日のこと忘れたのか」

「忘れてないよ?」