初夜で狸寝入りする妻は異世界の記憶があるらしい

「ヒロインである彼女は、悪魔と契約したエリアナを見破り、僕と結婚する。小説ではそういうシナリオだったな?」
「!? ま、まさか……わたくしの日記を……?」

 エリアナは驚愕の表情で、震えた指先を口元に当てた。

「実は君の寝言を聞いたんだ。君は、悪妻にはならないと誓うから処刑ではなく修道院への追放を懇願していた。どうにも気になって、悪いと思ったが君の日記を見せてもらった。そこで真実を知った」
「…………」
「君は悪妻エリアナとは違う行動で、破滅フラグを避けてきた。だが、日記には『物語の強制力』という単語がたびたび出てきた。これこそ、君が一番恐れていたことだろう?」

 ベルトランが確信を持っていると理解したのだろう。エリアナは渋々頷いた。

「どうか安心してほしい。彼女が侯爵家の使用人になることはない。君の破滅フラグはすべて僕が折っておいた」
「……は?」