初夜で狸寝入りする妻は異世界の記憶があるらしい

 眉根を寄せたベルトランは、呻くようにつぶやいた。

「…………僕だって、女性の秘密をいたずらに暴きたいわけではない。見て見ぬふりをする良識ぐらい持ち合わせている。だが、彼女に危険が迫っているなら話は別だ。エリアナの身の安全のために、僕は調べなければならないんだ」
「さようでございましたか。差し出口を申したようで、失礼いたしました。奥様は気丈に振る舞っていらっしゃいますが、何かに苦しんでいるようです。その憂いを払えるのは旦那様だけでしょう。どうか奥様をお救いくださいませ」
「ああ。必ず」

 短く答えると、執事は恭しく腰を折り、退室した。
 人払いを済ませ、一人きりになった執務室はひどく静かだった。

(…………エリアナ、すまない。僕は君の秘密をこれから暴く)

 心の中で懺悔し、ベルトランは日記帳のベルトを外した。
 慎重にページを繰る。最初はごく普通の日記だった。しかし、数ページもいかないうちに様子が一変する。

 そこには信じがたい事実が綴られていた。