白く、熱く。 ー番外短編ー

着替え終わって、リンクの前で朔くんとながら、僕は花嶋さんと志織さんがくるのを待つ。

ここは志織さんの地元でも穴場なスケート場らしく、志織さんが滑りたいけど、ちょっと羽を伸ばしたい!ということで、志織さんのフィギュアスケーター仲間の僕、冬山優希や、美亜ちゃん、鈴木朔くん、さらにいつもはカメラ係だけど、今日は普通に志織さんに呼ばれてきている花嶋さん。

「なんか、本物のフィギュアスケーターになったみたいです。うまく滑れちゃいそう」

「うん、鈴ちゃんかわいいし、どっかの大会に紛れてても違和感ないよ!」

女子ロッカー兼更衣室側から声が響く。

すっと通る声の前者が花嶋さんで、元気はつらつな声の後者が志織さんだ…たぶん。

「あ、冬山さん!鈴木さん!」

リンクサイドまで来て、僕たちを見つけて、手を振りながら駆けてくる花嶋さん。

…ん?

パタパタと走る彼女は、先ほど別れる前に見た姿ではなかった。

一歩踏み出すたびに、ふわふわと揺れるスカートの裾に、彼女の好きそうな淡いピンク。

…志織さんの、いつかの衣装じゃないか?あれ。

花嶋さんによく似合う、けれども足元や胸元など、いつもと段違いに露出の多いフィギュアスケートの衣装。

さらに上半身側がタイトなつくりで、体のラインがもろ丸見えだ。

固まった僕らに何かを感じたのか、短いそのスカートの裾を軽く引っ張っり、恥ずかしさからか潤んだ瞳になる彼女。

バサッ。

「え?」

「腕、通して」

「え、あ、はい」

ジーッ。

花嶋さんに、手に持っていたスポンサーのロゴが入っているジャージを着させ、上まで完璧にチャックをあげる。

「ふ、冬山さん…?」

至近距離で目が合った、彼女の不思議そうな声に我にかえる。

「え、あ、やっ」

近すぎる彼女との距離に、急にドキドキしてしまう。

「いや、あのっ、花嶋さん、本物のフィギュアスケーターみたいとかっ、話してたからっ、ジャージ、着たら、さらにぽくなるかなってっ、練習中の選手みたいに!」

体温が上昇するのを感じる。

別に、そう思って着せたわけじゃ…っていうか、なんで僕こんなことしたんだ!?

とりあえず誤魔化しておく僕と、きょとんとした花嶋さん。

「聞こえてたの?わぁ、恥ずかしい…けど、ありがとう!」

目を細めて笑う彼女は、服装のせいだろうか、いつもと違うように感じた。

「あ、でも、冬山くん寒くないの?私、体強いから風邪ひかないけど、冬山くんは…」

「や、僕は大丈夫!だからそれ着てていいよ!(?)」

いまさら返してもらうわけにもいかない…というか寒くないし、慣れてるからいらないっちゃいらないから断る。

「そう?なら、遠慮なく借りちゃおうかな。さらにうまく滑れそうな気がする!」

へへっと笑う彼女。

「じゃあ、早く滑ろ!」

リンクの柵に手をついて、ブレードのケースを外そうとして…うまくできていない彼女。

「あれ?これってどうやってとるの?」

あわあわして花嶋さんは僕に助けを求める。

「えっと…」

屈んで、彼女のそれをとってあげる。

「はい、とれたよ」

「ありがと!」

できなかったからか、恥ずかしそうに微笑む彼女。

思わず息を呑む僕。

———そんな様子を少し離れたところから見ていた2人がいた。