白く、熱く。 ー番外短編ー

「わぁー!かわいいっ!」

ジャジャーンと見せられたそれに私は目を輝かせる。

「でっしょー!これ、あたしが鈴ちゃんくらいのときに着て滑ってたんだ〜!」

得意げな志織さんが広げていたのは、フィギュアスケートの衣装だった。

淡いピンクを基調としたそれは、薄い布を何枚も重ねていて、短めのスカートや腕の裾がふわふわしており、スパンコールがいろいろなところにあしらわれている。

「これ、どうしたんですか?」

今日は志織さんに誘ってもらい、みんなでスケートをしにきた。

過去の衣装を持ってくる必要はないはず…

「もっちろん、鈴ちゃんに着てもらおうと思って」

ニコニコ満面の笑み…いや、ちょっとニヤニヤした顔で言った志織さん。

「え!?借りていいんですか!?」

「そのために持ってきたんだからね!さっさっ、着替えよ!」

「うぇ、え、あ…」

あっというまに個室に押し込まれた。

わー、こんなかわいいの、私が着てもいいのかな…?

服を静かに脱いで、着てみる。

目の前にある大きな鏡を見ると、ふわふわな布に包まれた私。

わぁ…かわいい…

鏡に映る私が私じゃないみたいだ。

…ちょっと、スカートが短すぎるのと、胸元が…気になるけど…

フィギュアの衣装ってこんなもんか。

でも…やっぱり…

かわいいけど、恥ずかしい…!

絶対サイズ合ってないよぉ、これ。

志織さん、わたしより小柄だし…

スカート短いし、上の方パツンパツンだし…

…それに、なんだか頼りない感じがする…

何重にもの布に包まれているはずなのに、あまりにも重さがない。

今わたしがそれを着ていると感じられるのは、目の前の鏡と、サイズの合わなさによる、胸の締め付けられ具合だけだ。

少し開いた胸元から、すっと冷たい風が触れる。

思わずキュッと胸元を隠して…なんだか恥ずかしくなる。

…なんか、わたし、気にしすぎ?

だって、誰もわたしのことなんか見てないだろうし…

「鈴ちゃーん!着替え終わった?」

ドアを挟んで志織さんが声をかける。

「あ、はいっ!」

ドアを引いて、あけると、同じように着替えて、次のシーズン用の青色の衣装に身を包んだ志織さんがいた。

「わー!鈴ちゃん超かわいい!!!やっぱ似合ってる!」

ぎゅーっと抱きつかれる。

「ありがとうございます…」

褒められてるのと抱きしめられるのに慣れていなくて、嬉しくけど、ちょっとくすぐったい。

でも、さっきの恥ずかしさはすっと消えた。

志織さんがかわいいっていうなら変ではないはず!かわいくはないかもだけど!