好きになった人は、みんなのアイドルで 3

「悠太郎も、ほんとは会いたいはずだから話して行ってちょうだい」

悠太郎くんのお母さんに着いて階段を上る。

迷惑かもしれない。
本当に会いたくないかもしれない。
……でも。

「じゃあ、二人で話して」
「お母さんは下で耳塞いでるから、安心して」
ふふっと笑ってお母さんが下へ降りていく。

ふーっと息を吐く。
「悠太郎くん」

返事は無い。

「あのね、そのままでいいから聞いて」

「ごめんね、勝手に会いに来て」
「蓮くんから、悠太郎くんが日本にいるかもって聞いて」
「居ても立ってもいられなくて、新幹線飛び乗っちゃった」

「ネットニュースも、見たよ」
「辛かったよね。ごめん、私、何の力にもなれなくて」
「脳天気なLINEばっかりして、嫌だったよね」

「……でもね、言ってほしかった」
「1番辛い時に、そばにいるのは私が良かった」

声が震えてしまう。

「私はね、悠太郎くんが、アイドルでも、アイドルじゃなくても、悠太郎くんが好きなの」
「悠太郎くんの隣は、私がいいの」

悠太郎くんとなら、例え地獄にでも、一緒に行くよ。

「ごめんね、それだけ言いたくて」
「どんな悠太郎くんでも大好きだよって、言いたくて」

「私のこと、嫌いになったんじゃなかったら、また会いに来るから」
「急に来てごめんね」
「……またね」

……こんなんで、伝わったんだろうか。
言いたいこと、何も上手く言えなかった。

ドアに背を向ける。

ガチャと音がして振り向くと、
涙で顔をぐしゃぐしゃにした悠太郎くんが立っていた。