タイムリープするお嬢様――二度目の婚約破棄はもう遅い。あなたが破滅する始まりです

 翌週、ソフィアからキャサリンへ短い文が届いた。

『言われたとおりにしてみます。明日、ドリアン様とお会いします』

 読み終えたキャサリンは、丁寧に手紙を折り畳んだ。



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 自分だけでは、何か起きたときに不安である。
 ソフィアにそう頼まれたキャサリンは、彼女の友人として植物園を訪れていた。

「なんだか緊張します……」

 少なからず、相手を騙そうというのだ。
 人のいいソフィアには難しい注文だったのかもしれない。

「心配しないで。私もついているわ」

 キャサリンがソフィアの肩に手を置く。

「お嬢様」

 エマがキャサリンに声をかける。

「部外者がいると変でしょう? 離れたところから見守っているわ。声は聞こえているから安心して」

 準備が整うやいなや、ドリアンはすぐに現れていた。

「直接会って話がしたいなんて、どうしたんだい?」
「すみません、忙しいのに」
「構わないよ。それにしても、植物園なんて珍しいところを選んだね」

 ソフィアが少しショックを受けたような顔をした。

「覚えて……いませんか?」

 ドリアンが少しだけイラついたのが、遠目からもわかる。
 声が少しだけ揺れる。

「どうだったかな……。それより話があるみたいだったようだけど」

 当然だろう。
 ドリアンは持参金の話が出ると思っているのだから、本題がまさか植物園にあるとは思ってもいないはずだ。

 ソフィアの目にじわりと涙がにじんでいく。
 当然、気がつかないドリアンは自ら墓穴を掘る。

「持参金の話だろう? 気にしなくていいんだ。僕は君がいてくれるだけで満足さ」

 さわやかにドリアンがはにかむ。
 本来であれば、これでゲームセットだっただろう。
 キャサリンの負けだ。
 しかし、違う。

「持参金? なんの話ですか?」

 ソフィアが目を丸くして、ドリアンを見返していた。

「……。はっ……?」

 ようやく、ドリアンは自分が誤った選択をしたことに気がついた。

 ――詰めるなら、今ね。

 キャサリンがソフィアたちに近づいていく。

「失礼、ドリアン子爵」
「……何者だ。エルフェルト家の令嬢……?」

 キャサリンの顔を見たドリアンが警戒を露わにした。

「そんなに身構えないでください。私とソフィア嬢はお友達なのです。ついて来てほしいと言われましたので、そばで見させてもらいました」

 キャサリンのことを睨みつけたドリアンだったが、さすがにソフィアの手前、表情をすぐに柔和なものに改めた。