月下ノ姫

夜風が、 静かに吹き抜ける

高層ビルの屋上

ネオンに染まる街を見下ろしながら、
海未はフェンスへ寄り掛かっていた

黒の特攻服

揺れるラベンダーの髪

エメラルドグリーンの瞳

“白月”

そう呼ばれ恐れられる少女は、
今夜も夜の街に立っている

だけど

昔とは、 少しだけ違った

海未「……寒」

小さく呟く

すると

伊織「風強いしな」

後ろから、 静かな声

海未が振り返ると、
伊織が缶コーヒーを持って立っていた

海未「またそれ」

伊織「好きだろ」

海未「……まぁ」

海未は缶を受け取る

その様子を見て、 伊織が少しだけ笑った