月下ノ姫

海未は反射的に身体を強ばらせる

怖い

また殴られる

そう思ったのに

男は、 海未へそっと上着を掛けた

海未「……え、」

先代総長「こんな時間にガキ一人で何してる」

海未は俯いたまま答えない

すると男は、 小さく息を吐いた

先代総長「帰る場所ねぇのか」

その言葉に、 海未の肩が震える

帰りたくない

でも、 行く場所もない

海未が唇を噛んでいると、 男は静かにしゃがみ込んだ

そして

先代総長「生きたいなら、下向くな」

海未「……っ」

先代総長「居場所が欲しいなら来い」

そう言って、 男は海未へ手を差し出した

その手は、 驚くほど温かかった