テーブルの上には、湯気を立てるハンバーグ、白いご飯、そして味噌汁が並んでいた。 用意ができたのを確認し、三人はそれぞれ椅子に腰を下ろす。「いただきます」と声を揃えて手を合わせ、食事を始めた。
「花代さん、めちゃくちゃうまいです!」
口いっぱいにハンバーグを頬張りながら、愛斗が素直な感想を伝えると、花代は柔らかく微笑んだ。
「ありがとう、愛斗くん」
食卓には和やかな話声が溢れ、三人は楽しい時間を過ごした。食事が終わると愛斗は家路につき、帰宅後はそのまま床に就き、長い一日が幕を閉じた。
次の日。
愛斗は仕事を終えると、翔と連れ立って歩き、図書館へと向かった。
道すがら、ふと翔が口を開く。
「なあ、愛斗。お前、俺の母さんのことが好きだろ?」
突然の問いかけに、愛斗は慌てて声を上げる。
「え、そ、そんなわけ無いだろ!」
そんな反応を見て、翔はからかうように笑った。
「はは、わかりやすいな。やっぱり好きなんだね」
からかわれているのはわかっていたが、愛斗は少しだけ口ごもりながら、本心を打ち明けた。
「……好きだよ。綺麗だし、誰にでも優しいから」
その言葉に、翔は真剣な表情になる。
「それなら、告白しちゃえばいいじゃないか」
愛斗は力なく首を横に振る。
「無理だよ、そんなの。立場も年齢も違うし、何より……」
言葉を濁す愛斗の肩を、翔はぽんと叩いた。
「諦めんなよ。俺は、愛斗が思ってくれるなら、母さんのこと任せるよ。きっとうまくいくって。付き合えるよ、絶対」
真っ直ぐな翔の言葉に、愛斗は胸が熱くなる。
「……ありがとう」
それからしばらく他愛もない話をしているうちに、二人は図書館へと到着した。
静かな館内で本を探していると、奥の棚の辺りで見慣れた背中が目に入った。
花代が背伸びをして、高い位置にある本に手を伸ばしている。届かずに少しだけ苦労している様子を見て、愛斗は無意識に足を踏み出した。
「花代さん、これですか?」
すっと手を伸ばすと、容易にその本を取り出し、花代に差し出す。花代は驚いたように瞬きした後、嬉しそうに笑った。
「愛斗くん! ありがとう、助かったわ」
「どういたしまして」
本を受け取ってもらい、そのまま少し立ち話をしていると、後ろから翔が近づいてくるのが気配でわかった。
「あれ、母さん? 何してんの?」
花代は手に持った本を軽く掲げて答える。
「本を借りに来たの。ちょうど欲しい本があってね」
翔は花代の手元にある本のタイトルを覗き込んだ。『スポーツ選手必読!勝つための食事と栄養』、『Dr.平石の勝つためのスポーツ栄養BOOK』……どれも、30代のスポーツをする人のための栄養管理や食事について書かれた本ばかりだ。
「へえ……母さん、こんな本借りるんだ」
「別にいいでしょ。私が読みたいと思って借りてるんだから」
少しむきになるような花代の言い方に、翔は思わず口調を強める。
「余計なことばっかりするなよな」
その言葉を聞いて、愛斗が間に入るように言った。
「そんな言い方するものじゃないよ。花代さんは、お前のことを思って、わざわざ調べたり勉強したりしようとしてるんだろ?」
愛斗の言葉に、翔ははっとしたように顔を上げる。
「……ごめん」
花代は気にした様子もなく、穏やかに言った。
「別にいいよ。私が勝手にやってることだから」
そう言って、翔の頭を軽く撫でる。翔は照れくさそうに、はにかんだ笑顔を浮かべた。
それから三人は並んで図書館を出て、道中も楽しそうに話をしながら家へと帰った。
玄関先まで見送ろうとする愛斗に、花代が声をかける。
「愛斗くん、今日は夜ご飯食べていってくれる? せっかくだから」
「はい! お邪魔します」
愛斗は笑顔で応じ、家の中へと上がった。
一度部屋に入り、翔と話をしていると、花代が「これから買い物に行ってくるね」と声をかけてきた。せっかくなので、三人揃って近くのスーパーへと向かった。
夕暮れの中、並んで歩き、食材を選び、談笑する。必要なものを買い揃え、袋を手に持って、三人はまた一緒に家へと帰る道を歩き出した。
「花代さん、めちゃくちゃうまいです!」
口いっぱいにハンバーグを頬張りながら、愛斗が素直な感想を伝えると、花代は柔らかく微笑んだ。
「ありがとう、愛斗くん」
食卓には和やかな話声が溢れ、三人は楽しい時間を過ごした。食事が終わると愛斗は家路につき、帰宅後はそのまま床に就き、長い一日が幕を閉じた。
次の日。
愛斗は仕事を終えると、翔と連れ立って歩き、図書館へと向かった。
道すがら、ふと翔が口を開く。
「なあ、愛斗。お前、俺の母さんのことが好きだろ?」
突然の問いかけに、愛斗は慌てて声を上げる。
「え、そ、そんなわけ無いだろ!」
そんな反応を見て、翔はからかうように笑った。
「はは、わかりやすいな。やっぱり好きなんだね」
からかわれているのはわかっていたが、愛斗は少しだけ口ごもりながら、本心を打ち明けた。
「……好きだよ。綺麗だし、誰にでも優しいから」
その言葉に、翔は真剣な表情になる。
「それなら、告白しちゃえばいいじゃないか」
愛斗は力なく首を横に振る。
「無理だよ、そんなの。立場も年齢も違うし、何より……」
言葉を濁す愛斗の肩を、翔はぽんと叩いた。
「諦めんなよ。俺は、愛斗が思ってくれるなら、母さんのこと任せるよ。きっとうまくいくって。付き合えるよ、絶対」
真っ直ぐな翔の言葉に、愛斗は胸が熱くなる。
「……ありがとう」
それからしばらく他愛もない話をしているうちに、二人は図書館へと到着した。
静かな館内で本を探していると、奥の棚の辺りで見慣れた背中が目に入った。
花代が背伸びをして、高い位置にある本に手を伸ばしている。届かずに少しだけ苦労している様子を見て、愛斗は無意識に足を踏み出した。
「花代さん、これですか?」
すっと手を伸ばすと、容易にその本を取り出し、花代に差し出す。花代は驚いたように瞬きした後、嬉しそうに笑った。
「愛斗くん! ありがとう、助かったわ」
「どういたしまして」
本を受け取ってもらい、そのまま少し立ち話をしていると、後ろから翔が近づいてくるのが気配でわかった。
「あれ、母さん? 何してんの?」
花代は手に持った本を軽く掲げて答える。
「本を借りに来たの。ちょうど欲しい本があってね」
翔は花代の手元にある本のタイトルを覗き込んだ。『スポーツ選手必読!勝つための食事と栄養』、『Dr.平石の勝つためのスポーツ栄養BOOK』……どれも、30代のスポーツをする人のための栄養管理や食事について書かれた本ばかりだ。
「へえ……母さん、こんな本借りるんだ」
「別にいいでしょ。私が読みたいと思って借りてるんだから」
少しむきになるような花代の言い方に、翔は思わず口調を強める。
「余計なことばっかりするなよな」
その言葉を聞いて、愛斗が間に入るように言った。
「そんな言い方するものじゃないよ。花代さんは、お前のことを思って、わざわざ調べたり勉強したりしようとしてるんだろ?」
愛斗の言葉に、翔ははっとしたように顔を上げる。
「……ごめん」
花代は気にした様子もなく、穏やかに言った。
「別にいいよ。私が勝手にやってることだから」
そう言って、翔の頭を軽く撫でる。翔は照れくさそうに、はにかんだ笑顔を浮かべた。
それから三人は並んで図書館を出て、道中も楽しそうに話をしながら家へと帰った。
玄関先まで見送ろうとする愛斗に、花代が声をかける。
「愛斗くん、今日は夜ご飯食べていってくれる? せっかくだから」
「はい! お邪魔します」
愛斗は笑顔で応じ、家の中へと上がった。
一度部屋に入り、翔と話をしていると、花代が「これから買い物に行ってくるね」と声をかけてきた。せっかくなので、三人揃って近くのスーパーへと向かった。
夕暮れの中、並んで歩き、食材を選び、談笑する。必要なものを買い揃え、袋を手に持って、三人はまた一緒に家へと帰る道を歩き出した。

