「でもさ」
蒼依がポテトを摘みながら言う。
「普通にすごくない?」
「全国から集められたトップの中で指導者側って」
「しかも紗凪さんまだ若いし」
「うん」
奏も真面目な顔で頷く。
「俺、最初会った時ふわふわした可愛い人ってイメージだったのに」
「今もう完全に“出来る女”っす」
「いや元々出来る人だからな?」
俺が返すと。
「いや陽貴さんは最初から好きフィルターかかってたじゃないですか」
「それはそう」
即答。
また笑いが起こる。
でも実際そうだ。
紗凪は昔から努力家だった。
周りに見えないところで、死ぬほど頑張るタイプ。
出来ないことを放置しない。
誰より勉強する。
誰より患者を見る。
だから今そこにいる。
運とかじゃない。
そんな簡単なもんじゃない。
俺は記事を読み進める。
『プロジェクト指導者には全国の高度救命救急センターから選抜されたフライトスタッフが参加——』
その下。
指導者紹介の欄に、紗凪のコメントも載っていた。
『現場で本当に動ける人材を育てたい』
『知識だけでは救えない命がある』
短いコメント。
でも、すごく紗凪らしい。
すると優朔がふっと笑った。
「一ノ瀬さん、完全にプロの顔だね」
「うん」
「でも陽貴の前だとあんな甘えん坊なのにな」
「やめろ」
思わず即ツッコミする。
奏がニヤニヤする。
「え、気になる」
「俺ら知らない紗凪さんいるってことですよね?」
「知らなくていい」
「独占欲つよ」
「当たり前だろ」
もう開き直る。
すると蒼依が吹き出した。
「いやでもほんと安心しました」
「ん?」
「大阪行く前、紗凪さんめちゃくちゃ不安そうだったから」
確かに。
あの夜。
“怖い”って小さく漏らした紗凪を思い出す。
知らない土地。
新しい環境。
全国規模のプロジェクト。
プレッシャーないわけない。
でも。記事の写真の紗凪は、ちゃんと前を向いていた。
それが嬉しかった。
するとその時。
スマホが震える。
画面を見る。
——紗凪
一瞬で顔が緩む。
「うわ」
奏が即反応した。
「顔やば」
「ニヤけすぎ」
「うるさい」
俺は立ち上がる。
「電話?」
優朔が聞く。
「いや、多分LINE」
画面を開く。
『セレモニー終わったよ』
その一文。
その後に送られてきた写真。
控室らしい場所。
フライトスーツ姿の紗凪が、少し疲れた顔でピースしてる。
……可愛い。
保存っと。
いや待て。
待て待て。
その後ろ。
知らん男二人映ってる。
しかもイケメン。
「……」
空気止まる。
「陽貴さん?」
奏が怪訝そうに覗き込む。
俺は真顔で写真拡大した。
「誰だこいつら」
「出た」
「彼氏発動」
蒼依が爆笑する。
でも普通気になるだろ。
すると追加メッセージ。
『後ろの人たちは他の指導ナースさん』
『めちゃくちゃ優しい人たちだった』
「優しいんだ……」
なんかモヤる。
俺は少し考えてから返信を打つ。
『おつかれ』
『めちゃくちゃかっこよかった』
数秒後。
『え』
『見たの!?』
その文面だけで、焦ってる顔が想像できる。
思わず笑ってしまう。
『記事なってた』
『全国デビューしてたぞ』
すると。
『やめて恥ずかしい』
『しかもめちゃくちゃ緊張してたんだから』
俺はその文章を見ながら、小さく息を吐く。
……あぁ。
やっぱ好きだな。
遠くいても。
忙しくても。
こうやって連絡一つで元気になる。
すると向こうから追加。
『あとね』
『今日から本格的に始まるんだって思ったら、ちょっと怖かった』
その文字に、胸が少し締め付けられる。
俺はすぐ返信した。
『大丈夫』
『紗凪なら出来る』
それは、慰めじゃない。
本気だった。
すると少し間が空いて。
『……うん』
『頑張る』
その短い返事。
でも。
その“うん”に、ちゃんと覚悟が入ってるのが分かった。
俺はスマホを握りながら、静かに笑う。
離れてる。
会えない。
寂しい。
でも。
紗凪は今、ちゃんと前へ進んでる。
なら俺も。
ちゃんと頑張らないとなって思った。
蒼依がポテトを摘みながら言う。
「普通にすごくない?」
「全国から集められたトップの中で指導者側って」
「しかも紗凪さんまだ若いし」
「うん」
奏も真面目な顔で頷く。
「俺、最初会った時ふわふわした可愛い人ってイメージだったのに」
「今もう完全に“出来る女”っす」
「いや元々出来る人だからな?」
俺が返すと。
「いや陽貴さんは最初から好きフィルターかかってたじゃないですか」
「それはそう」
即答。
また笑いが起こる。
でも実際そうだ。
紗凪は昔から努力家だった。
周りに見えないところで、死ぬほど頑張るタイプ。
出来ないことを放置しない。
誰より勉強する。
誰より患者を見る。
だから今そこにいる。
運とかじゃない。
そんな簡単なもんじゃない。
俺は記事を読み進める。
『プロジェクト指導者には全国の高度救命救急センターから選抜されたフライトスタッフが参加——』
その下。
指導者紹介の欄に、紗凪のコメントも載っていた。
『現場で本当に動ける人材を育てたい』
『知識だけでは救えない命がある』
短いコメント。
でも、すごく紗凪らしい。
すると優朔がふっと笑った。
「一ノ瀬さん、完全にプロの顔だね」
「うん」
「でも陽貴の前だとあんな甘えん坊なのにな」
「やめろ」
思わず即ツッコミする。
奏がニヤニヤする。
「え、気になる」
「俺ら知らない紗凪さんいるってことですよね?」
「知らなくていい」
「独占欲つよ」
「当たり前だろ」
もう開き直る。
すると蒼依が吹き出した。
「いやでもほんと安心しました」
「ん?」
「大阪行く前、紗凪さんめちゃくちゃ不安そうだったから」
確かに。
あの夜。
“怖い”って小さく漏らした紗凪を思い出す。
知らない土地。
新しい環境。
全国規模のプロジェクト。
プレッシャーないわけない。
でも。記事の写真の紗凪は、ちゃんと前を向いていた。
それが嬉しかった。
するとその時。
スマホが震える。
画面を見る。
——紗凪
一瞬で顔が緩む。
「うわ」
奏が即反応した。
「顔やば」
「ニヤけすぎ」
「うるさい」
俺は立ち上がる。
「電話?」
優朔が聞く。
「いや、多分LINE」
画面を開く。
『セレモニー終わったよ』
その一文。
その後に送られてきた写真。
控室らしい場所。
フライトスーツ姿の紗凪が、少し疲れた顔でピースしてる。
……可愛い。
保存っと。
いや待て。
待て待て。
その後ろ。
知らん男二人映ってる。
しかもイケメン。
「……」
空気止まる。
「陽貴さん?」
奏が怪訝そうに覗き込む。
俺は真顔で写真拡大した。
「誰だこいつら」
「出た」
「彼氏発動」
蒼依が爆笑する。
でも普通気になるだろ。
すると追加メッセージ。
『後ろの人たちは他の指導ナースさん』
『めちゃくちゃ優しい人たちだった』
「優しいんだ……」
なんかモヤる。
俺は少し考えてから返信を打つ。
『おつかれ』
『めちゃくちゃかっこよかった』
数秒後。
『え』
『見たの!?』
その文面だけで、焦ってる顔が想像できる。
思わず笑ってしまう。
『記事なってた』
『全国デビューしてたぞ』
すると。
『やめて恥ずかしい』
『しかもめちゃくちゃ緊張してたんだから』
俺はその文章を見ながら、小さく息を吐く。
……あぁ。
やっぱ好きだな。
遠くいても。
忙しくても。
こうやって連絡一つで元気になる。
すると向こうから追加。
『あとね』
『今日から本格的に始まるんだって思ったら、ちょっと怖かった』
その文字に、胸が少し締め付けられる。
俺はすぐ返信した。
『大丈夫』
『紗凪なら出来る』
それは、慰めじゃない。
本気だった。
すると少し間が空いて。
『……うん』
『頑張る』
その短い返事。
でも。
その“うん”に、ちゃんと覚悟が入ってるのが分かった。
俺はスマホを握りながら、静かに笑う。
離れてる。
会えない。
寂しい。
でも。
紗凪は今、ちゃんと前へ進んでる。
なら俺も。
ちゃんと頑張らないとなって思った。

