トップアイドルは白衣の天使に恋をするsecond

——紗凪side

次の日。

旅館をチェックアウトした私たちは、そのまま一緒に家へ帰った。

帰りの車の中は、不思議なくらい穏やかだった。

昨日たくさん笑って。

たくさん甘えて。

たくさん“好き”を伝え合ったからかもしれない。

隣で運転する陽貴くんを見ながら、私は小さく笑う。

「どうしたの?」

「うんん、幸せだなと思って」

そう返すと、陽貴くんが少しだけ目を細める。

その横顔が優しくて、また胸が温かくなった。

——幸せだったな。


そんな余韻を抱えたまま、マンションへ戻る。

エレベーターへ乗り込み、部屋の前へ。

陽貴くんが鍵を開ける。

「ただいま」

そう言いながら扉を開けた瞬間。

「「「おかえりーーー!!!」」」

「っ!?」

突然の大声に、私はびくっと肩を震わせた。

リビングには、見慣れた顔ぶれ。

優朔さん。

蒼依くん。

奏くん。

そして——梓。

「えっ……!?」

完全に固まる私を見て、蒼依くんが大爆笑する。

「紗凪さんめっちゃびっくりしてる!」

「そりゃするだろ」

優朔くんが呆れたように笑う。

すると梓が腕を組みながら、にやにやした顔でこっちを見た。

「おかえり、温泉旅行帰りのカップルさん」

「っ……!」

一気に顔が熱くなる。

「な、なんで……!」

慌てて陽貴くんを見ると。

本人はめちゃくちゃ満足そうに笑っていた。

「大阪行く前に、一回みんなで集まりたくて」

さらっと言う。

「俺が呼んだ」

えー!

「聞いてない……!」

「サプライズ大成功ー!」

奏くんがいえーいと言う。

まだ少し状況についていけない。

すると蒼依くんがテーブルを指差した。

「ご飯いっぱい頼んどいたよー!」

「今日は壮行会兼ねてパーティー!」

「あと陽貴さんの“紗凪不足で死にそう会議”も」

「余計なこと言うな」

即座に陽貴くんが突っ込む。

でもその顔はどこかうれしそうで。

私は思わず笑ってしまう。

すると隣で梓が小さく肩をぶつけてきた。

「愛されてんねぇ」

「……もう」

恥ずかしい。

でも正直に、嬉しい。