「今日は軽く挨拶に寄らせてもろただけなんですけど」
高城先生が穏やかに続ける。
「もしお時間ありましたら、少しだけ森崎の方からオリエンテーションよろしいですか?」
師長さんがすぐに頷いた。
「もちろんです」
「一ノ瀬、今少し時間大丈夫?」
「はい」
急変対応後ではあったけど、今は患者さんの状態も落ち着いている。
問題ない。
すると森崎さんが軽く頭を下げた。
「ほな、ちょっとお借りします」
そのまま私は、院内のカンファレンスルームへ移動した。
部屋へ入ると、森崎さんが慣れた手つきでタブレットを開く。
「急にすんません」
そう言いながら、ふっと笑った。
柔らかい関西弁。
どこか軽い雰囲気。
でも空気感はかなり落ち着いている。
「いや、こちらこそ……」
私は少し緊張しながら椅子へ座った。
「……あ、そうや。ちゃんと自己紹介してなかったですね」
そう言って、椅子へ軽くもたれた。
「森崎隼斗(もりさき はやと)です」
「30歳」
「大阪中央医療センター勤務、救命救急センター所属」
「現役のフライトナースやってます」
そこまでは聞いていた。
でも次の言葉に、少しだけ目を見開く。
「今回の育成支援プロジェクトでは、フライトナース主任任されてます」
主任。
しかもこの若さで。
思わず驚いてしまったのが顔に出ていたのか、森崎さんが小さく笑う。
「“若っ”って思いました?」
「……少し」
正直に答えると、森崎さんが吹き出した。
「よう言われます」
軽く笑いながら、資料をこちらへ向ける。
そこに載っていた経歴を見た瞬間。
私は思わず息を呑んだ。
大阪中央医療センター救命救急センター勤務。
フライト歴8年。
国内災害派遣医療チーム登録。
大規模災害現場支援経験あり。
海外救急研修修了。
フライト教育担当。
若手育成プログラム責任者。
論文掲載歴多数。
そして。
全国フライトシミュレーション技術評価、最優秀指導者。
「……すご」
思わず声が漏れる。
森崎さんが少し困ったみたいに笑った。
「いやいや、肩書きだけですよ」
「現場出たら普通の看護師です」
いや、普通ではない。
経歴を見れば見るほど分かる。
この人、かなり“本物”だ。
軽い雰囲気に見えるのに。
積み上げてきたものが圧倒的。
だからこそあの余裕があるんだ。
「めちゃくちゃ現場叩き上げなんですね」
私がそう言うと。
森崎さんが少しだけ目を細めた。
「まぁ、救命しかできへんので」
その言い方は軽い。
でも。どこか覚悟を感じた。
きっとこの人も。
命の最前線をずっと走り続けてきた人なんだろう。
「一ノ瀬さんのことも結構聞いてますよ」
「え?」
「“現場で一番冷静な看護師”って」
「フライト乗ってる先生ら、めっちゃ評価高かったです」
そんな風に言われると思ってなくて、一瞬言葉が詰まる。
すると森崎さんがふっと笑った。
「まぁでも」
「写真より実物の方が可愛いですね」
「……え?」
突然すぎて固まる。
高城先生が穏やかに続ける。
「もしお時間ありましたら、少しだけ森崎の方からオリエンテーションよろしいですか?」
師長さんがすぐに頷いた。
「もちろんです」
「一ノ瀬、今少し時間大丈夫?」
「はい」
急変対応後ではあったけど、今は患者さんの状態も落ち着いている。
問題ない。
すると森崎さんが軽く頭を下げた。
「ほな、ちょっとお借りします」
そのまま私は、院内のカンファレンスルームへ移動した。
部屋へ入ると、森崎さんが慣れた手つきでタブレットを開く。
「急にすんません」
そう言いながら、ふっと笑った。
柔らかい関西弁。
どこか軽い雰囲気。
でも空気感はかなり落ち着いている。
「いや、こちらこそ……」
私は少し緊張しながら椅子へ座った。
「……あ、そうや。ちゃんと自己紹介してなかったですね」
そう言って、椅子へ軽くもたれた。
「森崎隼斗(もりさき はやと)です」
「30歳」
「大阪中央医療センター勤務、救命救急センター所属」
「現役のフライトナースやってます」
そこまでは聞いていた。
でも次の言葉に、少しだけ目を見開く。
「今回の育成支援プロジェクトでは、フライトナース主任任されてます」
主任。
しかもこの若さで。
思わず驚いてしまったのが顔に出ていたのか、森崎さんが小さく笑う。
「“若っ”って思いました?」
「……少し」
正直に答えると、森崎さんが吹き出した。
「よう言われます」
軽く笑いながら、資料をこちらへ向ける。
そこに載っていた経歴を見た瞬間。
私は思わず息を呑んだ。
大阪中央医療センター救命救急センター勤務。
フライト歴8年。
国内災害派遣医療チーム登録。
大規模災害現場支援経験あり。
海外救急研修修了。
フライト教育担当。
若手育成プログラム責任者。
論文掲載歴多数。
そして。
全国フライトシミュレーション技術評価、最優秀指導者。
「……すご」
思わず声が漏れる。
森崎さんが少し困ったみたいに笑った。
「いやいや、肩書きだけですよ」
「現場出たら普通の看護師です」
いや、普通ではない。
経歴を見れば見るほど分かる。
この人、かなり“本物”だ。
軽い雰囲気に見えるのに。
積み上げてきたものが圧倒的。
だからこそあの余裕があるんだ。
「めちゃくちゃ現場叩き上げなんですね」
私がそう言うと。
森崎さんが少しだけ目を細めた。
「まぁ、救命しかできへんので」
その言い方は軽い。
でも。どこか覚悟を感じた。
きっとこの人も。
命の最前線をずっと走り続けてきた人なんだろう。
「一ノ瀬さんのことも結構聞いてますよ」
「え?」
「“現場で一番冷静な看護師”って」
「フライト乗ってる先生ら、めっちゃ評価高かったです」
そんな風に言われると思ってなくて、一瞬言葉が詰まる。
すると森崎さんがふっと笑った。
「まぁでも」
「写真より実物の方が可愛いですね」
「……え?」
突然すぎて固まる。

