トップアイドルは白衣の天使に恋をするsecond

しばらく。

私は優朔さんに抱きしめられたまま、泣いていた。

子供みたいに。

情けないくらい。

でも優朔さんは、一度も急かさなかった。

ただ静かに背中を撫でてくれる。

その優しさが、苦しいくらい沁みた。

やがて少しずつ呼吸が落ち着いてくる。

私は慌てて身体を離そうとした。

「……す、すみません」

すると優朔さんが、小さく笑う。

「だからなんで謝るの」

その声が優しくて。

また泣きそうになる。

優朔さんは、少しだけ真面目な顔になった。

「……僕たちも、ごめんね」

「……え?」

私は目を瞬く。

優朔さんは視線を落として、小さく息を吐いた。

「本当なら、もっと手伝えたはずなのに」

「全部、梓ちゃんに背負わせちゃった」

その言葉に、私は慌てて首を横に振る。

「そんな……!」

「優朔さんたち、めちゃくちゃ忙しいじゃないですか」

「手伝えなくて当たり前です」

本当にそうだ。

黒騎士は今、日本トップレベルのグループで。

ライブ。

ドラマ。

撮影。

取材。

休む暇なんてほとんどない。

それでもみんな、毎日紗凪を心配してた。

陽貴さんを支えてた。

それだけで十分なのに。

なのに優朔さんは。

そんな風に、ちゃんと申し訳ないって言ってくれる。

その優しさに。

胸が、ぎゅっと締め付けられた。

あぁ。

って思った。

この人、本当に優しい。

ただ大人なだけじゃない。

ちゃんと人の痛みに気づける人。

気づいたら。

心が、この人へ向いていた。

——好きだ。

そう思った瞬間。

頭より先に、口が動いていた。

「……好きです」

優朔さんが、ぴたりと動きを止める。

私は、自分でも何言ったのか分からなくなった。

でも、もう止まれなかった。

震える声で、続ける。

「……好きです、優朔さん」

部屋の空気が、一瞬止まる。

優朔さんが、ゆっくり目を見開いた。

完全に予想してなかった顔。

私は一気に顔が熱くなる。

やばい。何言ってるの私。

今の流れで言う!?普通!?

勢いに任せすぎた。

羞恥で死にそうになっていると。

優朔さんが、小さく息を吐いた。

それから。困ったみたいに笑う。