『余計会いたくなった』
その声が、思っていた以上に寂しそうで。
胸がきゅっと締め付けられる。
私は小さく笑う。
「私も会いたい」
『……うん』
「ちゃんと帰るから待ってて」
すると電話の向こうで、小さく息を吐く気配がした。
そして。
『紗凪』
「ん?」
少しだけ間。
『自分がどれだけ可愛いか、もうちょっと自覚持って』
「……え?」
『無自覚で距離近いし』
『かわいいし』
『優しいし』
『男が放っておくわけないよ』
「っ……」
顔が熱くなる。
後ろで森崎さんがアイス選んでるのが逆に救いだった。
『俺、離れてる分余計不安になるんだから』
低くて甘い声。
でもその奥に、独占欲と本気の寂しさが混ざってる。
『あんまり俺を心配させないで』
その言葉が優しくて。
愛されてるって、すごく伝わってくる。
私は自然と頬を緩めた。
「……うん」
『ん』
「気をつけるね」
そう返すと。
電話の向こうが少しだけ静かになる。
そして。
『……素直』
「なにそれ」
『可愛い』
「もう……」
恥ずかしくて耳まで熱い。
すると陽貴くんが少しだけ笑った。
さっきまでの拗ねた空気が、少し柔らかくなる。
『ちゃんと帰ったら連絡して』
「うん」
『あと』
「ん?」
『好き』
不意打ち。
心臓が跳ねる。
私は小さく笑った。
「私も好き」
その瞬間。
電話の向こうが静かになる。
「陽貴くん?」
『かわいい。紗凪おやすみ』
「うん、おやすみ」
通話が切れる。
画面が暗くなったスマホを見つめながら、私は小さく息を吐いた。
離れてるのに。
こんなに愛されてるって伝わる。
それだけで、不安が少し軽くなる気がした。
すると。
「はい、チョコミント」
森崎さんがアイスを差し出してくる。
「ありがとうございます」
「彼氏さん、大丈夫でした?」
「まぁ…はい」
「大丈夫ちゃうやつやん」
すると森崎さんが楽しそうに笑った。
「でもええ彼氏さんですね」
その言葉に。
私は少しだけ照れながら、小さく頷いた。
「……はい」
夜風が少し冷たい。
でも胸の奥は、不思議なくらい温かかった。

