響け!祝福のミュージカル

「や、やめてください!」

ハリエットはダミアンの手を振り払い、逃げようとする。しかしドレスのスカートは重く、ドレスに慣れていないハリエットは動かなかった。あっという間にダミアンに抱き締められてしまう。

「は、離してください。私、お付き合いをしている方がいるんです!」

ハリエットの頭にレオンハルトが浮かんだ。口付けも、こうして肌を重ねるのも、異性ではレオンハルトだけに許している。そんなハリエットを見て、ダミアンは不機嫌そうに顔を歪めた。

「私の方が地位がある。財もある。その男に負けるものはない。苦労はさせない。ハリエット、お願いだ。私だけの歌姫になってくれ」

泣き出しそうな声が降ってくる。ダミアンの胸を必死に押していたハリエットは、その言葉で動けなくなってしまった。

(レオンハルトさん。私、どうしたらいいんでしょうか?)

ハリエットは込み上げてくる気持ちをグッと堪え、ただレオンハルトのことを考えていた。



「王族が何でハリエットを攫ったんだよ!?」

アントーニョの大声が響いた。オルハンが不快そうに顔を顰める。レオンハルトは地面を指差した。