響け!祝福のミュージカル

訳がわからずハリエットが混乱していると、彼女が目を覚ましたことを見越したかのようにドアが開いた。ドアを開けて入って来たのは、癖のある黒髪の男性だった。豪華な衣服を纏った彼は、ゆっくりとハリエットのいるベッドに近付いてくる。

「ッ!」

ハリエットは身構えた。何故ならば、この男性こそハリエットを控え室から攫った張本人だからである。男性がハリエットの髪に触れた。ハリエットの肩がびくりと跳ねる。男性はそのままハリエットの髪の一房を優しく取り、その髪に口付けた。

「あ、あの……」

ハリエットが困惑の声を出すと、男性は「ああ、すまない」と名残惜しそうに彼女から離れる。そして恭しくお辞儀をし、言った。

「手荒な真似をしてすまなかった。私はダミアン・トロンペーテ。トロンペーテ国の第一王子。あなたを私の妻として迎え入れたい」

「やはり、王子様でしたか……」

他人の空似ではなかったのか、とハリエットは息を吐く。ダミアンはハリエットの手を取り、口付ける。