響け!祝福のミュージカル

一箇所だけ音が違った。レオンハルトはその壁を力強く押す。ガコン、と音を立てて壁が外れた。

「隠し通路が!?」

カナタが驚く。レオンハルトは「ハリエットはここからやって来た人物に攫われたようだね」と呟き、通路の中へと入っていく。アントーニョたちもあとに続いた。

「ハリエット、大丈夫かしら?」

マーガレットが不安げに言う。その脳裏にあるのは、一年前にハリエットがジョセフに誘拐された時だろう。カナタも不安げに頷く。

「誘拐となると、無事に帰って来られるかどうか……」

「ぜってぇ助けるぜ!!何があってもな!!」

アントーニョが拳を握り締める。その隣でオルハンがため息を吐いた。

「トーニョ。まだハリエットを攫った奴が誰かもわかってないんだよ。助けに行けないじゃないか」

「あぁ!?じゃあテメェはハリエットを見捨てんのかよ!!」

「見捨てるとは一言も言っていないよ。僕の話を聞いていたのかい?いい耳鼻科を紹介するよ」

アントーニョとオルハンが睨み合う。そんな中、レオンハルトは拳を握り締めていた。カナタがレオンハルトを見つめる。