響け!祝福のミュージカル

その時である。ハリエットの背後にある壁が外れた。ガタン、と響いた音にハリエットは振り返る。そして突然目の前に現れた人物を見て、彼女は恐怖から言葉を失った。手から歌詞の書かれた紙が滑り落ちていく。

「……」

その人物がハリエットに近付いてきた。彼女は慌てて控え室の外に逃げようとする。しかし、その人物がハリエットを捕らえる方が早かった。彼女は背後から抱き締められ、身動きを封じられてしまう。

「だ、誰か!!ッ!?」

助けを呼ぼうとしたハリエットだったが、口と鼻を布で塞がれてしまう。ツンとした独特の匂いに、ハリエットは一瞬にして頭がぼんやりとする感覚を覚えた。

(……レオンハルトさん……)

彼女は最後の力を振り絞り、手を伸ばした。



レオンハルトたちは舞台の最前列に並んで座り、開演をただ待っていた。周りからはAliceのステージを楽しみにする声が響いている。オルハンが笑った。

「Alice、すごく人気だねぇ。嫉妬しないのかい?」