『聖那君、お正月って時間ある?』
『午前中に実家行くけど、そのあとなら時間あるよ』
『私もだ。大晦日に実家帰ってあっち泊まって、午後にアパートに帰ってくる予定なんだけど、よかったら初詣いかない?』
『いいよ。俺もヒスイちゃん、誘おうかなって思っていたし』
『そうだったんだ』
『うん。実家に帰ってるなら俺、実家に迎え行こうか? どうせ帰る方向同じだし』
『ほんと? ありがとう、そうするよ!』
『お昼の後の方がいいかな。えーと、一時位は?』
『それで大丈夫』
『わかった。じゃあ、一月一日の一時にね』
そうして迎えた、新しい年。
大晦日ももちろん残業した私は、父親に迎えに来てもらい実家に帰った。
久しぶりに顔を合わせた妹と弟に対して若干のうっとうしさを感じつつ、リビングでこたつに入りながら、ボードゲームやカードゲームをしていた。
そうしている間に垂れ流しているテレビから、年明けを知らせる声が響く。
そして、一斉になるスマホの通知音やバイブ音。
「おめでとー」
「うん、おめでとう」
と、形式的なやりとりをしつつ、きょうだい全員、スマホを手に取った。
数少ない中学からの友だちや、今のお店の同僚である雪村さんや鬼頭さんたちからもメッセージが届く。
それに、聖那君からも。
『明けましておめでとう。去年再会できて嬉しかった。これからもよろしく』
というメッセージが、明けましておめでとう、のスタンプと共に送られてきていた。
再会したのが十月で、今一月。もうすぐ三か月、だけどまだそれしか経っていないことに驚く。
去年の後半は、ほんとうに怒涛だった。
私はそれぞれにメッセージを返した後、最後に聖那君へとメッセージを送る。
『明けましておめでとう。私も再会できてよかった。今年もよろしくね』
とだけ返す。
するとすぐに既読がついて、喜びを表すスタンプが返ってくる。
その時、前の売り場の人からメッセージが届いた。私に鏑木さんが既婚者であることを教えてくれた女性社員だ。
『明けましておめでとう!』
ちょっとびっくりして私はそのメッセージを開く。
『本社下のお店どう? こっちも色々あったけど』
なんて書いてあって、私は返信を入力した。
『明けましておめでとうございます。エンタメコーナーで十一月からずーっと忙しくて驚きました』
『そうなんだ。エンタメってなんかいつも忙しそうにしている気がする。そうそう鏑木さんなんだけど、なんか不倫を繰り返していたみたいでそれが奥さんにバレて、アメリカに連れていかれたの』
そんな言葉の後に、泣き笑いの絵文字が続く。
それには苦笑するしかない。
やっぱり私以外にも手を出していたんだ。よかった、タイミングよくこちらの店舗にあきがあって異動できて。
不倫相手にされていたことにたいする嫌悪感が酷過ぎて思わず異動したい、って言い出したけど、よくよく考えるとかなりやばい行動だったと思う。
結果、聖那君と再会できたんだけど。
『そんなことあるんだ』
とだけ返し、私はスマホを閉じた。
明日の事もあるしそろそろ寝るかなぁ。
そう思って私は大きな欠伸をして立ち上がった。
その日の朝。といっても十時過ぎにだらだらと目をさまし、ぼんやりと親が見ている駅伝の番組を見つめる。
テレビの中に映るのぼりが、大きく揺れている。風強いなぁ。
こたつに入ったきり動かない私にお雑煮を出しながら、お母さんは言った。
「ヒスイは何時に帰るんだっけ」
「んー、一時に聖那君が迎えに来てくれるって言うからそれで帰る」
「あら、ヒスイ、聖那君と連絡取ってたの?
そんなお母さんの意外そうな声がする。
私は割り箸をわり、お雑煮に箸を突っ込みながら言った。
「うん。たまたまお店のお客さんとして来て。あったの八年ぶりかな」
「あらそうなの。なんだか運命感じるわねー」
そう嬉しげな声で言い、お母さんはこたつに座ってテレビの方を見た。
お正月と言えば駅伝なんだよね、うち。
私は違う番組見たい気持ちはあるけれど。これを見るとあぁ、お正月なんだ、って自覚する。
お餅を食べて私はお母さんに言われたことを考えた。
運命かぁ……
そんなのあるだろうか。
再会したのは偶然だし。
聖那君のこと考えるとほんと、気持ちが落ち着かなくなってしまう。
今日会って、次の約束はする?
何も考えていない。会いたい気持ちが私の中で膨らんで溢れだしそうだ。
これぜったいにまずいやつ。
きっと私、この想いを抑えきれなくなってしまう。
そうなったとき、私と聖那君の関係、壊れたりはしないだろうか。
せっかく幼なじみとして付き合って、って聖那君が言ったのに。その想いを無駄にするようなことになったりしないかな。
『午前中に実家行くけど、そのあとなら時間あるよ』
『私もだ。大晦日に実家帰ってあっち泊まって、午後にアパートに帰ってくる予定なんだけど、よかったら初詣いかない?』
『いいよ。俺もヒスイちゃん、誘おうかなって思っていたし』
『そうだったんだ』
『うん。実家に帰ってるなら俺、実家に迎え行こうか? どうせ帰る方向同じだし』
『ほんと? ありがとう、そうするよ!』
『お昼の後の方がいいかな。えーと、一時位は?』
『それで大丈夫』
『わかった。じゃあ、一月一日の一時にね』
そうして迎えた、新しい年。
大晦日ももちろん残業した私は、父親に迎えに来てもらい実家に帰った。
久しぶりに顔を合わせた妹と弟に対して若干のうっとうしさを感じつつ、リビングでこたつに入りながら、ボードゲームやカードゲームをしていた。
そうしている間に垂れ流しているテレビから、年明けを知らせる声が響く。
そして、一斉になるスマホの通知音やバイブ音。
「おめでとー」
「うん、おめでとう」
と、形式的なやりとりをしつつ、きょうだい全員、スマホを手に取った。
数少ない中学からの友だちや、今のお店の同僚である雪村さんや鬼頭さんたちからもメッセージが届く。
それに、聖那君からも。
『明けましておめでとう。去年再会できて嬉しかった。これからもよろしく』
というメッセージが、明けましておめでとう、のスタンプと共に送られてきていた。
再会したのが十月で、今一月。もうすぐ三か月、だけどまだそれしか経っていないことに驚く。
去年の後半は、ほんとうに怒涛だった。
私はそれぞれにメッセージを返した後、最後に聖那君へとメッセージを送る。
『明けましておめでとう。私も再会できてよかった。今年もよろしくね』
とだけ返す。
するとすぐに既読がついて、喜びを表すスタンプが返ってくる。
その時、前の売り場の人からメッセージが届いた。私に鏑木さんが既婚者であることを教えてくれた女性社員だ。
『明けましておめでとう!』
ちょっとびっくりして私はそのメッセージを開く。
『本社下のお店どう? こっちも色々あったけど』
なんて書いてあって、私は返信を入力した。
『明けましておめでとうございます。エンタメコーナーで十一月からずーっと忙しくて驚きました』
『そうなんだ。エンタメってなんかいつも忙しそうにしている気がする。そうそう鏑木さんなんだけど、なんか不倫を繰り返していたみたいでそれが奥さんにバレて、アメリカに連れていかれたの』
そんな言葉の後に、泣き笑いの絵文字が続く。
それには苦笑するしかない。
やっぱり私以外にも手を出していたんだ。よかった、タイミングよくこちらの店舗にあきがあって異動できて。
不倫相手にされていたことにたいする嫌悪感が酷過ぎて思わず異動したい、って言い出したけど、よくよく考えるとかなりやばい行動だったと思う。
結果、聖那君と再会できたんだけど。
『そんなことあるんだ』
とだけ返し、私はスマホを閉じた。
明日の事もあるしそろそろ寝るかなぁ。
そう思って私は大きな欠伸をして立ち上がった。
その日の朝。といっても十時過ぎにだらだらと目をさまし、ぼんやりと親が見ている駅伝の番組を見つめる。
テレビの中に映るのぼりが、大きく揺れている。風強いなぁ。
こたつに入ったきり動かない私にお雑煮を出しながら、お母さんは言った。
「ヒスイは何時に帰るんだっけ」
「んー、一時に聖那君が迎えに来てくれるって言うからそれで帰る」
「あら、ヒスイ、聖那君と連絡取ってたの?
そんなお母さんの意外そうな声がする。
私は割り箸をわり、お雑煮に箸を突っ込みながら言った。
「うん。たまたまお店のお客さんとして来て。あったの八年ぶりかな」
「あらそうなの。なんだか運命感じるわねー」
そう嬉しげな声で言い、お母さんはこたつに座ってテレビの方を見た。
お正月と言えば駅伝なんだよね、うち。
私は違う番組見たい気持ちはあるけれど。これを見るとあぁ、お正月なんだ、って自覚する。
お餅を食べて私はお母さんに言われたことを考えた。
運命かぁ……
そんなのあるだろうか。
再会したのは偶然だし。
聖那君のこと考えるとほんと、気持ちが落ち着かなくなってしまう。
今日会って、次の約束はする?
何も考えていない。会いたい気持ちが私の中で膨らんで溢れだしそうだ。
これぜったいにまずいやつ。
きっと私、この想いを抑えきれなくなってしまう。
そうなったとき、私と聖那君の関係、壊れたりはしないだろうか。
せっかく幼なじみとして付き合って、って聖那君が言ったのに。その想いを無駄にするようなことになったりしないかな。
