想いはきっと痛くない

続きを言おうと口を開いたとき、またドアが開いた。でも今回は、優しく。


「あ、先生」


振り返ると、今度は間違いなく先生だった。


「ん?って、あれ藤堂(とうどう)くん」


先生は、私に反応したあと、視線を少し動かして彼の名前?を呼んだ。

藤堂くんって言うんだ。


「あ……」


先生の声に反応したのか、そう彼の口から小さく漏れた。


「あ、先生? 彼、休養に来たみたいで……」

「……そうなの?」


私の話を聞いて、先生は彼に訊くように見た。
彼は一瞬目を逸らした。そして、伸びをするように立ち上がった。


「んー、もう大丈夫です」


そう言ってまた軽く笑った。なんか、少し愛想笑いのように。


「そう、相田先生が探してたわよ」


相田先生。私の担任だ。
じゃあ、同じクラスなのかな?


「あー……」


彼が少し面倒くさそうにそう漏らす。


「早く行った方がいいわよ。少し怒ってたし」

「はーい。じゃあ、お邪魔しましたー」


そう言って彼は保健室から出て行った。

振り返る瞬間までにこりと笑っていた。


でも振り返ったあの一瞬、どこか引き攣って見えたのは、気のせい……なのかな?