想いはきっと痛くない

そうしたら、静寂を切り裂くようにドアがガラッと勢いよく開かれた。
廊下の奥の体育館の微かな音が流れ込んでくる。


「あ、先生? ここって……」


先生が戻ってきたなら、せっかくだしわからなかったところを聞こうと、プリント片手に目を落としながら、振り返った。けど、顔をあげると……。


「あれ? 人いんじゃん」

「え、誰?」


私の予想は大きく空回り、目の前に立っていたのは制服を着崩した男の子だった。


予想を外したため、誰?なんて言っちゃったけど、そんな呑気なことを考えてる場合じゃないことにすぐ気が付いた。

ここ保健室だし、保健室に用があるに決まってる。


「えっと、怪我? それとも体調不良?」


慌てて聞くと、彼はにこりと笑って向かいのソファーに座って。


「んー、惜しい。どちらかというと休養?」


と言った。
すごい笑顔だけど、休養というんだからきっと何かあるんだろうなー、なんて思いながら彼を見る。


「今、先生職員室に用事があるみたいでいないんだよね」


と、伝えると彼はまた笑顔で「好都合!」なんていうので少し疑問に思った。

頭にハテナを浮かべながらも、彼を見ると靴が赤色なので同学年らしい。
見たことない子だなー、なんて思ったけどそもそも教室に行かないので知ってる子を探す方が難しいことに気づいた。


「君は? 元気そうだけど何してんの?」

「え、あ……プリント?」


色々考えてると今度は彼の方から話しかけてきた。


「何の?」

「数学……」


質問に答えながらもふと、休養ってベッドとかで寝てなくていいのかなと思った。
でも、体調不良は違うって言ってたけど……。でもたまに寝不足状態でここにくる子もいるし……。

迷ったので聞いてみることにした。


「あの……」

「ん?」


彼が私の声に反応して首を傾げた。