想いはきっと痛くない

翌朝。私はいつも通り家を出た。


「じゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃい。気を付けてね」

「うん」


ほんとは、今日はまっすぐ行かない。

あんまりに遅いと学校から連絡いっちゃうかな。

でも……。


家を出て、いつも通り分かれ道へ行く。

私が着くころにはもう彼がいた。


「おはよう。やっぱり早いねー」

「お、来た来た。んじゃ、どこ行こっか」

「……人が少ないところ」

「まあね」


頷いた後、彼は「うーん」と少し呻ってから、笑ってこっちを見た。


「じゃあ、とりあえずここに長居 もあれだし動くか」


と言って歩き出した。

あれ?そう言えば……。


「今日は自転車じゃないの?」

「えー? まぁ、気分?」

「そう?」


ゆっくり歩きだした彼の背中を追う。

基本、人が少ない時間に家を出てるから登校してる生徒はまだ少ない。

それでも、いなくはないから早めに歩く。


「なーにしよっかなぁ」


無言で彼の後ろをついて行く。

そう言えば反対側はそんなに行ったことなかったなぁ。なんて思いながら。

朝早くだとまだみんな本格的な活動前だから割と静か。暑いけど、結構過ごしやすいなぁなんて考える。


「梓月は、なにかやりたいことある?」

「え、私?」

「そ、梓月」


やりたいこと?やりたいことって言われても……。

藤堂くんが何をしてるのか気になってついてきたわけだし。


「と、特には?」

「……ま、だろうねー。難しいこと聞いたか」

「んー」


難しいこと、というか。どうだろう。

ある意味、難しいことだったのかな。


「んー、じゃああそこ行くか」

「あそこ?」


聞くと藤堂くんが振り返っていたずらっ子のような笑みを浮かべて言った。


「いいところ」


よくわからずハテナを浮かべていると「まぁ、ついてきなよ」と言われたのでそのままついて行ってみる。