想いはきっと痛くない

体育祭も終わり、また普通の日常に戻った。

もう少しすれば、夏休み。そのおかげか、どこかみんな浮足立ってる気がする。


「梓月ー……」

「何?」

「いや、暇すぎじゃない?」

「私はプリントだされてるもん」


暇なんて言ってられない。

正直、ほんとに理系が苦手すぎて。


あれからも、相も変わらず彼はサボりとしてたまにここに来る。

先生がいないタイミングを見計らってだけど。

……あ、そうだ。


「ねぇ?」

「ん? 何?」

「普段ここに来ないとき何してるの?」


少し前にも思たことあるけど、聞けなくて気になってたんだよね。

聞くとにまーと笑って「気になる?」と聞いてきた。

気にならなかったら聞かないのに、彼はこういうところがあるからなぁ。


「うん、気になる」

「よし! じゃあ、特別に案内してあげよう!」

「え、あ……ちょ。終わってない」

「そんなの後でもできるできる」


それに、先生が帰ってきたらバレるのでは?

最近は、私たちが二人でいるのもなんとなくバレてる気がするし。

いや、それは放課後の図書館勉強でバレたんだろうけど。


「どこ行くの?」

「ん-、まずはやっぱり上だろ?」


楽しそうに笑ってるのが、私にも移ったのか「でた、上」なんて笑ってしまった。

きっと、悪いことしてる。

でも、それがどうしようもなく楽しかった。

やりたいこと。の一つだったってことにしておこう?


まだ三回目の屋上。それでも慣れてしまってる。

当たり前のようにいけない時間に外に出る。


「はー……やっぱり空綺麗ー」

「ん、今日もいい天気!」

「え、サボり場所ってことは藤堂くん一体何回来てたのよ」

「えー? 知らない」


静かな場所だもん。と言って寝そべった。

隣に座って、目を瞑って風を感じてみる。

グラウンドは体育してるクラスがあるみたいで微かに声が聞こえる。

自然と、この間の体育祭が思い出される。


「ここで、何するの?」

「えー、寝る?」

「ふーん?」


ぽいなぁ、と思った。

教室でも寝て、ここでも寝て。たまに保健室来て、放課後は図書室で勉強。

ある意味、充実してると言えるか。


「あとはー……午前中は遅刻とか」

「え……」

「あ、一緒に行ってみる?」


一緒に行く?いつ?どこへ?


「……」

「ま、別に行かなくてもいいけど。梓月は怒られる&心配され……」

「い、行く!」


彼の言葉を遮ってそう言った。

勢いに任せてそう言ったので彼がすごい驚いた顔をして私を見た。

「本気?」とでも言いたげな表情。

正直、自分でも少し驚いてる部分はあるけど、でも行きたいと思った。


彼の見てる、過ごしてる世界を。


私は、ずっと一人、狭い、代り映えのしない世界で過ごしてたから。


「ね、連れてって!」

「……マジ? いいよ」


楽し気に笑ってそう言った。