想いはきっと痛くない

改めて窓を見て……窓を開けた。


「何してんの? 暑くね?」

「んー? 暑いよー? すっごい熱風!」

「だろうね」

「ねぇ、藤堂くん」

「ん?」


藤堂くんが隣に来た。

暑い熱風が入ってきて、教室内の冷たい空気が流れていく。

早く締めないと、冷房がもったいないし、涼しくなくなるから帰ってきた人が不審に思っちゃう。


「私、できなかったことしたい」

「できなかったこと?」

「うん」


できなかったこと。私がしたかったこと。……諦めてたこと。

今日、教室に入れた。席に座れた。

まだ、授業とか、できないけど。少しだけ、成長できた気がする。


「どんなこと?」

「色々」


ほんとに、色々。

授業受けたい。寄り道だってしてみたい。遊びに行ってみたい。


あと、いつか。私のこと伝えられたらな。藤堂くんのこと知れたらなぁ。


「そっか。じゃあ、やるか」

「え?」


今?これからのこと言ってたんだけど。

藤堂くんは、こちらを振り返って「ほら、行くよ?」と言った。


廊下をどんどん歩いていく藤堂くんの横に並ぶ。


「どこ行くの?」

「えー? 体育祭らしいこと?」

「え?」

「ほら、見た目だけでもさー」


見た目?首を傾げると、笑って「これ」と言って見せてきた。


「あ、ハチマキ!」

「そ、体育祭なのにハチマキもしないで髪も降ろしてるしねー」


まずは形から!と言ってカウンセリング室に向かった。