想いはきっと痛くない

しばらく、並んでフェンスに寄りかかってぼんやりと見ていると、一競技終わったらしく、またアナウンスが聞こえてきた。

この次は、うちの学年のリレーだ。

少しすると、そこからか足音がした。それも、近づいてくる。

足元が冷たくなる感覚がした。


「……やば」


そう、彼の声が耳に届いた次の瞬間には、彼に手首を掴まれて、ドアの横の隙間に引かれていた。

裏へと隠れるのと同時に、屋上のドアの開く音がした。


「うわ、マジで開いてんじゃん! ラッキー!」


ドアが開くと同時にそんな声が聞こえてきた。

きっと暑さに耐えられなくて中に入ってきた生徒が、興味半分で来たんだろう。

どこか、緊張感でさっきまで藤堂くんに掴まれていた手首をぎゅっと握った。

鼓動が、耳元で鳴ってる気がした。嫌な音。

バレてしまったら、どんな視線が飛んでくるかわからない。それが、本当に怖い。

「ふぅ」と深く息を吐いた。心臓を沈めるように。


ふと気が付くと藤堂くんが私の頭に撫でるように手を置いていた。

少し落ち着いたら、来てる子たちの声が微かに耳に届いた。

でも、うまくは聞き取れないけど、聞き間違え出なければ「藤堂」と聞こえた。つまり、同じクラスである可能性が高い。

でも、私がそう聴こえた時、頭上から小さな舌打ちが聞こえた。


「……」


体勢的に、今は彼の顔が見えない。

でも、とりあえず、早くいなくなれ。そう願った。