想いはきっと痛くない

見ると自席に座ってるみたいだった。


「あ……私席知らない」


席替えをしてしまったから、私は今の自分の席を知らない。

零すように言うと藤堂くんが自分の横の席を指差した。


「ん」

「え?」

「いや、え? じゃない。ここ。梓月の席」


何言ってるの?というように言ってくる。

教えてくれたから、せっかくだから。と席に座ってみた。

どこか、懐かしいような感覚がした。まだ、学生のはずなんだけどなー。
こんなにこの椅子と机を懐かしい、なんて思う学生はきっといない。

横を見ると頬杖をついて窓を眺めてる彼がいる。

きっと、窓からグラウンドが見えるから。

制服じゃなくてジャージなのに相変わらずどこか着崩す彼が、いつも通りでまだ少し残ってた緊張がなくなっていく。


「何?」


私の視線に気づいたのかこちらを見てそう言ってくる。


「んー? 教室、いたらこうやって授業受けてたのかもなぁって」

「俺は出ても寝てるけどな」

「じゃあ起こさないとね」


睡眠妨害反対ーなんて言ってくる彼に思わず笑う。

教室なのに、そんなに居心地が悪くないのは、誰もいないからなのか。それとも藤堂くんといるからなのか。


それとも両方かな。