想いはきっと痛くない

放課後になり、今日も相田先生にプリントを渡した。

その足で、今日は図書室へ向かった。

普段行かないところ、普段はないことへ行くのはやっぱりどこか浮かれるもの。
一体入学してから何回来たのか。きっと、数えるほどしかない。


少し緊張交じりに、図書室のドアを引いた。
ふわっと、保健室とも教室とも違う、木の香りのような匂いが鼻に通った。
図書室だ。なんて、当たり前のことを考えた。


均等に並べられた長テーブルの一番端。彼がいた。
ふと顔をあげて、私に気が付くと軽く手を振ってくれた。


「お待たせ? 早いねー」

「まぁ、サボり魔ですからー?」

「そーね」


軽く笑って言われた。
でも、その言葉の裏にある理由を、勝手に考えて想像してしまえば、どうしても笑って返すことができなかった。


彼の目はまっすぐだ。
からかいの雰囲気も持たないぐらい。でも……。

「サボり魔」
「保健室登校」
「カウンセリング室」

これらの言葉を口にするたびに、一瞬目が伏せられるか、瞳が揺らぐ。

他にも、きっと何かある。それこそ、笑顔が引き攣って見えたのも、それ。