浅生先生はもう恋をしないそうなので、私は今日も好きを伝える。


「え?ちょ、」



思わず掴んだ傘を押し返そうとする私を無視して、先生はサッと背を向け校内へと走っていってしまった。




その大きな背中と、鋭い目つきと声音に反して優しい言葉。




雨で冷えた身体に沁み込むように、先生の暖かさが伝わって、じんわりと滲んだ。








「好き…かも。」





さっきまでの憂鬱な気持ちなんて忘れた私は、いとも簡単に恋に落ちてしまった。