聖ちゃんは不快そうな顔でこちらを見ていた。
「ちょっと!恋羽のこと抱き締めないでよ!」
「俺が抱き締めたいのは恋羽だけだよ」
「もう知らない!」
聖ちゃんは帰ってしまった。
え、強制的に私が連れて帰らなきゃいけないの?
「病院帰るよ」
「病室で話す?」
「どこでも話さない」
「じゃあ、気持ちいいからここで話そ?」
抱き締められて動けない今は、抵抗がしにくい。
でもそうか、今の腕の力は弱い。
私はすんなり解放された。
「恋羽…?」
「早く車椅子乗って」
「ここで話したい」
「早く乗って」
「むぅ…」
軽蔑的な目で見下ろした。
相手にしない。
家族以上に、私の人生に関わってこない人物なんだから。
なんとか車椅子に乗せて、病院へ向かう。
615号室に送り届けて、私は何も言わず帰った。
土手だからダメなんだ。
あけぼの公園、散歩してみよう。
家から1番近い公園。
奥には図書館があるような、大きな公園。
ぐるっと1周して、満足して帰ろうとしていると、目線の先に玲央と聖ちゃんがいた。
しかも、車椅子は少し遠くに置いていて、支えてもらっているのか、手を置かせてもらっている。



