「玲央とはもう、関わらない」
「ちょっと待ってよ、恋羽!」
私は電話を切った。
これで良かったんだ。
もう捨てるから…玲央への想いも執念も。
ただ学校へ通い、帰ってきてご飯食べたりお風呂入ったりして、勉強して寝るだけの毎日が続いた。
ある休みの日。
「ねえ恋羽。最近玲央の所行ってないし、元気ないけど大丈夫?」
母にそう言われた。
「…大丈夫。気晴らしに散歩でも行こうかな」
「うん、行ってきな」
着替えて、15時半頃土手の方へやって来た。
桜は散って、緑が広がっている。
足元には小さなピンクや黄色い花が咲いている。
今日はあまり暑くない日で、心地いい。
風も爽やかで、心地いい。
静かに深呼吸をした。
「あっ、恋羽?」
その声に、私は振り向いた。
少し遠くから、車椅子に乗る玲央と、それを押す聖ちゃん。
走って逃げればいいのに、私は足が動かなかった。
すぐ近くまで2人は来てしまった。
玲央はほっとしたように笑った。
「会いたかった」
優しい声は、そう私に伝えてきた。
私は玲央のことは見なかった。
車椅子を押す、聖ちゃんの白い手を見ていた。



