「あ、もしもし!恋羽?やっと出てくれた!」
久しぶりに聞いた、好きな人の声。
なんだか泣きそうになった。
「恋羽、俺の話聞いてよ」
私は何も言えなかった。
1秒でも早く、電話を切りたかった。
何も変わらない優しげな声、聞いていられなかった。
何の疑いもせず、玲央のことを無邪気に大好きだった時みたいには、ならずにはいられなかった。
苦しかった。
「本当は直接喋りたいのになぁ…。俺が恋羽に会いに行ければいいのにね。1人じゃ外出できないから、皆が学校行ってる午前中って外行けないの。恋羽が午前中に来ない限り」
どちらにせよ家までは来られないと思うけど。
「午後なら、聖とか来るから、車椅子押してくれて散歩いけるんだけどね。でも、俺は恋羽と出かけるのが好きなんだよ?優しい声と、温かい笑顔と、柔らかい手が…すっごく大好き」
そんなの…聖ちゃんだってやってるでしょ。
「私は必要ない」
「何で?そんなことないよ」
「…私が今までやってたこと、全部聖ちゃんがやってる」
「それは、恋羽が来ないからだよ」
言い訳だ。
聖ちゃんが好きなくせに。



