魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「領主の関係者だ」

 間違っていない。間違っていないけど、さらに追及されたら困る。

 ボクは羽をバタつかせて、窓を叩いた。けれど小鳥の羽ばたきなどでは、たいした音は出なかったのだろう。ブルーノは聞こえなかったのか、マイナに話しかけていた。

「領主の耳にも届いていない、ということは、そういうことだ」
「……私が奢っていたのは分かりました。でも、今更どうしろというんですか? 皆、パティの味方だし、私の言うことなんか、誰も聞いてくれない状況で。抵抗してもしなくても、変わらないのなら、従った方が平和なんです」
「平和? それは誰に対しての平和だ?」
「皆です。ここにいる皆。私の刺繡が施されたドレスや服を買っていくお客様も含めた、皆です」
「マイナ一人の犠牲の上に成り立つ平和、か」

 ボクは羽ばたきをやめて、窓から遠ざかった。少し隣の窓には、針子たちが協力してドレスを制作している。
 フリルやギャザー、リボンに花の装飾品。それらをバランスよく仕立てるのは、一人だと大変だ。なにぶん、ドレスは大量の布を使う。針子たちは慣れた様子で、協力し合いながら作業をしていた。