魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

 ブルーノのいうことも、一理あった。ここでクヨクヨしていても、時間だけが流れていく。時は有限だ。さらにいうと、パティは短気だから、待ってなどくれないだろう。

 ボクは善は急げ、とばかりに姿を消す隠蔽魔法を使った。
 本当なら、ミルドレッドを助けに行きたいところだけど、パティの機嫌を損ねて、工房から追い出されるわけにはいかないのだ。今のボクたちの立場はカーマイン公爵家の縁者。つまり、お客と同じ。そこから厄介者に格下げされたらおしまいだ。
 二度とこの工房どころか、店。いや、ヴァルクという街を容易に歩けなくされる可能性だってある。

 だからミルドレッド。もう少しだけ、待ってて。絶対に助けに行くから。ボクが、絶対に……!

 断腸の思いで、工房とは別の方向へと歩き出した。表からだと店と隣にある工房しか見えないが、中庭からだと建物がもう一つ別にある。けれど倉庫には見えないことから、勝手に住まいなのだろうと推測した。なぜなら、工房や店ほど人の出入りが見られないからだ。
 他の用途も思い浮かばないし、宛もない。ならばさっさと探りを入れることにしたのだ。

 まず隠蔽魔法を使いながら箒に乗り、窓から中を覗く。すると、ゆっくりとだが、部屋の中を移動している人影が見えた。
 ボクは近くの木に飛び移り、隠蔽魔法を解くと、すかさず小鳥に変身する。そして再度、窓へと近づき、コンコンと嘴で叩いた。