魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

 ブルーノも珍しく感心している。さらにその場で跪き、白い花に手を差し伸べている姿など、様になり過ぎていて、パティが顔を赤らめていた。

 普段、ボクが粗雑な扱いをしているせいもあって忘れられているが、これでも一国の王子である前に、乙女ゲームの攻略対象者だ。黙っていれば、爽やかイケメンなのである。

「き、気に入ったのなら、あげるけど?」
「いらん。ここにあるから、美しさを感じるのだ」
「っ! あっ、そ! あとで欲しいと言ってもやらないからね」

 ブルーノに断られたのが、そんなに癪に障ったのか。パティは速足で、ボクたちの横を通り過ぎ、奥へと向かっていってしまった。

「どうやらこの花の世話をしているのは、あの女ではないらしいな」
「だね……何か気になるかい?」
「分からない。ただ、会ってみたいと思っただけだ」

 そういうと、ブルーノは立ち上がり、パティの向かった方へと歩き出す。ボクはボクで、ブルーノとは違った意味で、その白い花が気になった。

 けれどそれ自体は、珍しい花ではない。前世でも見たことがあるデイジーだ。白のデイジーの花言葉は「無邪気」だけど、デイジーのみの花言葉は「希望」や「平和」がある。

 手を差し伸べるほど気にかけるブルーノと、自分が育てたものではないのに気安く差し出そうとするパティ。

 嫌な予感がしつつ、ボクも二人の後を追った。