魔女ユニティの誤算 ~悪役令嬢の役を降りたら、婚約破棄してきた王子が追いかけてきました~

「着ているものを見れば分かるわよ。時代遅れのデザインに、安っぽい布で作られたフード。いかにも宿無しって感じがするし。お金、持っていないでしょう?」
「なんだと! これには事情があってだな。あと金なら王――……ゴッ!」
「すまない。連れが失礼なことを言ったようだけど、気にしないでくれ」

 ボクはそれ以上、発言ができないように、ブルーノを箒で突いた。幸い、ブルーノが盾になってくれていたお陰で、彼女の方からは箒を出した瞬間は見えなかったことだろう。
 さらにブルーノが蹲ってくれたお陰で、注意を引くこともできた。

「……別に構わないけど。ううん。なんか訳ありみたいだけど、私の認識は変わらないんだから、いいわね」
「ボクは田舎者だと言われても、目くじらを立てるほど子どもじゃないよ。だけど、この街に初めてやってきた者に対しては、些か横暴なんじゃないかな。君はどうやら、この街では力を持っている人物のようだし。毎回、こんな歓迎をしているのか?」
「そ、そんなわけ――……」
「ないよね。力のある者なら、力のある者らしく、余裕を持った接し方を心掛けるべきだね。特にボクたちのような流れ者に、そんな態度はよくない。余所で、どんなことを言い触らすか分からないんだから」

 客商売なら尚更だ。評判は大事なもの。どうやらそのお客というのは、ヴァルクだけで賄っているわけではなさそうだし。ボクたちを田舎者扱いをしたことを後悔させてやろうかな。

 ふふふっ、とほくそ笑んでいると、茶髪の女性は何かを察したらしい。